「`ダークファンタジー` `短編`」を含む小説

波羅蜜は仏の道。慈悲なくして行けぬもの。 復讐は外道の道。人道にもとるもの。 はたしてそうなのか。 自分はあえてこう言おう。 復讐は波羅蜜より難し。 別世界から転生して来たビシ…

　ある若い貴族の地方領主が、大邸宅での独居生活を楽しんでいた。 　が、古い木箱に入った、一本の錆びついた鍵を見つけて以来、変化が訪れた。 　窓の外に目を凝らすと、霧の中に、人影が…

1話あたり150文字の超短編妖怪物語―― それが「10秒妖怪草紙」。 舞台は現代の東京、あるいは記憶に沈む山間の村。 都市の隙間に潜む妖、忘れられた土地に宿るもの。 恐怖、哀し…

夢に現れる、青いドレスの女性。 彼女の瞳に惹かれ、青年画家エリオスはその“青”を追い求める。 唯一その色を描けるという伝説の花を求め、旅に出た彼が辿り着いたのは、前世の記憶と、忘…

【カクヨム甲子園中間選考突破作】 この国には貨幣がない。 あるのは、価値だけ。 物々交換の中で、モノだけにとどまらず、若さ、美貌、物語、感情……人はそのすべてを差し出し、交換する…

魔物に育てられた少女・シュウは、今は騎士隊の下働きをしていた。 騎士の一員として、あの魔物の影を追うために。 いくら「忘れろ」と言われても、いまだ胸から離れないのは、 きっと魔物…

貧民街で慈善活動を続ける貴族の娘・シエラ。ある日彼女は、言葉を話さない少年と出会う。 次第に心を通わせていく二人―― だが、彼は“心あるもの”ではなかった。 祈りが、願いを歪め…

　幼馴染の二人は、田舎の山奥にある「未来を映す湖」で遊びながら育った。 　そこに映るのは、少し成長した自分たちの姿——ただの幼馴染だった二人が、ある日湖に映る未来に戸惑い、互いを…

彼女の失踪を境に、耳鳴りが響き始める。それは、彼女からの『助けて』というサインなのではないか。 感情に任せて車を走らせていると、ニュースが耳に入る。内容は、身元不明の遺体が見つか…

　どこにでもいる冴えない中学3年生の祐人は、夢の中で天女の真帆羅に、「あなたの願いを一つ叶えましょう」と言われる。祐人は、真帆羅を彼女にしたが、将来をかけた天女チャレンジに成功す…

辺境の村に住む聖女ルミアは、祈りの力で人々を助けていた。 少しばかり退屈ではあったが、それでも穏やかで幸福な日々だった。 だがある日、王子セリオスが村に現れ、こう告げられる。 「…

付き合いのない隣家からはいつも赤ん坊の泣き声が聞こえていた。その隣家には曰く付きの井戸があり……

目覚めると、そこは最も愛し最もやり込んだゲームの世界で。 自分以外にも、最愛の人と、その婚約者がいる……。 これは悪夢なのか、それとも、まさか本当に、流行りのゲーム世界への転移？…

村外れに住む“先生”と呼ばれる男のもとで働くマリアは、ある日、彼の家で傷ついた客人と出会う。 灰色の目をしたその美しい青年に、マリアは次第に心惹かれていくが──彼の姿は、マリアの…

――昔々、とある村にて。 少女は狼に食べられた。祖母とともに、腹の中に。 だが少女は、喰われてなお生きていた。 腹を裂かれ、血の海の中から這い出した。 それは奇跡ではなかっ…

目の見えない少女と耳の聞こえない少年が手を繋ぎ、生きていく物語

貴方を見た瞬間、私は恋に堕ちた。 貴方が微笑んだ瞬間、私は壊れた。 この物語は、“天使”に恋をした少女が遺した、最後の手紙。 救われたかった者が、救えなかった神を呪い、 愛と祈…

「嫌いって、言えないんです。だから私は──ノートに書きます」 感情を押し殺して生きてきた女性が手にしたのは、“書けば現実になるノート”。 書いたのは、他人の名前。 願ったの…

　ある夜、筆者が夢で見た“灰色の無人街”。 　灰色の静寂に包まれた街で、目覚めた少年・一哉(かずや）。 　誰もいないはずの路地を徘徊する異形の怪物、囁く声、止まった時。 　守る…