「「円城塔賞」」を含む小説

僕は大学を卒業したにもかかわらず、とある教授のもとへ足繫く通っている。その理由は、自分が書いた物語を教授に「喰べて」もらうことで——

「ごめんね下井（しもい）君、待った？」 「い、いや、俺も今来たとこだよ」 　文化祭当日。 　ドキドキしながら自分の教室の前で竜田（たつた）さんを待っていると、メイド服に身を包ん…

『ねえ、私のこと好き？』 「好きに決まってるじゃないか」 僕は画面の向こうにいる僕の彼女に囁くように語りかける。 程なくして画面に選択肢が現れた。 彼女に渡す誕生日プレゼントを次…

噂によると、俺がずっと片想いしている律子は、先生である須藤のことが好きらしい。 だが俺は須藤なんかに律子を渡すつもりはない。 俺は絶対に須藤には負けねえ。

少し前に、カメムシを見たんです。 踏みます？態々。踏みませんよね。 ――なんでですか？ 臭うから、ですか？ でも、臭った方が都合のいいときってありますよね。

「ねえ筧（かけい）君、量子力学って知ってる？」 「え？」 　僕と榊（さかき）さん以外誰もいない、放課後の教室。 　日直だった僕たち二人は並んで黒板を拭いていたのだが、榊さんが唐…

私の名前は小牧梨乃。 貧乳で大して可愛くもない私だけど、超絶イケメンでバスケ部のレギュラーでもある樋口先輩に絶賛片想い中！ これが無謀な恋だってことは百も承知！ でもだから何だっ…

僕はゴリラのウホ夫。 最近の悩みは、隣の巣に住んでいるメスゴリラのウホ美さんが、僕の留守中に僕の巣に勝手に入ってくつろいでいることだ。 今日も巣に帰ると、案の定ウホ美さんは悪びれ…

――少年は、老婆だけが眠れないのは可哀そうだと思った。 博愛の少年と、救われた少女の話。ただの少女と、救われた少年の話。

「テスコフの歌って知ってる？」 金髪で、軽薄そうに見える女である鈴愛がそう語る。詩織はその哲学を疑うことなく聞き入れた。 「愛って、定義不可能な流動体なんだって」 その言葉は、真…

とある小説家の内弟子をしている男は、夢を見た。 それは彼の師が有する奥方の夢。その奥方もまた書き手だった。 彼の師はその女と女の書く作品を狂おしいほどに愛していた。 内弟子に…

祖母の家で過ごすある冬の日、黒電話が鳴った。 仏間にあるあの黒電話は、電話線なんて繋がっていないのに。

占い師たちの、仁義なき戦い？　ふざけてます。 ふざけてるので、多少の矛盾、違和感は見逃してください。