「ＳＦ短編」を含む小説

突如、空に現れた巨大なＵＦＯ。国中の人々の脳に直接響いたのは、ただ一言―― 　Ｔｒｉｃｋ　ｏｒ　Ｔｒｅａｔ！ その日を境に、国家は混乱の渦に飲まれていく。「ご馳走」と「いたず…

蒸気機関車。 SLが客車を引いて、走っている。 モクモクと黒い煙と、噴き出した汽笛の白い蒸気をたなびかせて、夜を走っている。 しかし、この列車、地上を走っていない。 空を飛んでい…

2047年。ブレイン・ネット社の高度なアンドロイドが、超高齢化社会のインフラを支える存在となった世界。 医師・風間透は、日常生活を支えてくれる生活アシストアンドロイド《セレナ》と…

冬の大三角形を思い出しながら、わたしたちは屋上で星を見ていた。 掌編です。

本稿は、筆者が熱帯アジアの一地域で実施した短期フィールドワークの結果の一部を報告するものである。調査対象となった住民は Tupayang 族（トゥパヤン族）と呼ばれる集団であり、…

人文計算学研究センターで、AIと文学の共同研究をしている「俺」の前に、Λ-9という巨大言語モデルが出力した“新作”が現れる。 画面に表示されたのは、ひらがな・カタカナ・漢字・記号…

外宇宙を漂う巨大珪素生命体「ヒトデ」の間では、人間世界のロールプレイが流行している。 あらゆる面で人間と区別のつかない肉体をそこに生成し、神経網に電流を流して、人形劇のように操っ…

──人の無意識はネットワークのように繋がっている。 そのネットワークに、人の強い思いが“もう一つの選択の世界”を作り出す。── 『パラレルワールド』 それは、心の集合体に生…

童話『白雪姫』の2025年リマスターです。 やや毒が強い作品なので、ご注意ください。 いつか忘れましたがSF短編ランキングで週間6位になりました。ありがとうございます！

核戦争後にふたり生き残った刑事と容疑者。ふたりの行末とは…。

２０XX年　未来の日本では犯罪を根絶するために画期的な犯罪者更生プログラムが開発されていた。 犯罪者の人格そのものを科学的に漂白し、従順で善良な人格に書き換える。 その効力で、再…

もし酒に意識があったら、"酔い"にまつわる罪は誰のせい？ 酒は飲んでも飲まれるな、じゃないですが、酒にまつわる童話のような不思議な話。 決して、酩酊状態で書いたわけではございませ…

殺し屋兄弟は行方不明になった兄を探して、累ヶ島へとやってくる。そこで知り合った神谷は何かに常に怯えており、るいという自分の妻を殺してくれと兄弟に頼むのだった。そして、彼のこちから…

新しい会社に入社したK。初めは順調だったものの、日に日に悪くなる体調に異変を感じていた。 1ヶ月後、彼はその理由を知ることなく、長い眠りについたのだった。

植物から生まれる動物。 風船のような、海月のような、透明な「気クラゲ」。 空気を浄化し、夜には発光し、時に人を運び、時に食料となる。 この不思議な生命体と共に、人類は空中で静かに…

　わたしには名前がある。 　それはシズク。 　意識を持つ、たった一滴の水。 　三十五億年前、わたしは原始の海で目覚めた。 　以来、わたしは地球のすべてを見てきた。 　三畳紀の…

お母さんの小説を娘が読む話です

突然太陽系内に侵入してきた巨大彗星群。 それらは次々と爆散して地球軌道をガスと塵で包んだ。 科学者は予測した。地球は全球凍結すると。 滅亡の危機の中、人類は自らの遺伝情報を搭載し…

2050年のある秋の日。 空から落ちた光のしずくを追って、 少年・そーたは丘の裏の森へ駆けだした。 そこで見つけたのは、丸い金属の球体。 ——そして、中から現れた首の長い小さ…

　壊れた傘を拾った。さっきの夕立で壊れたのだろう、傘の骨が一本折れている。 「どうだい？　そこのゴミ捨て場までデートしないか？」 　傘にそそのかされた僕は、仕方なくその傘を持っ…