「「円城塔賞」 短編」を含む小説

もし、この感情に名前をつけるなら

ある女子高生が手に入れたのは、”自分が思う騒音”を消すことができるイヤホンだった。少女は、クラスメイトの話し声、母のお説教、生意気な弟の悪態など、不快な騒音を次々消していくのだが…

さあ、講義を始めよう。ヒツマブシの、ヒツマブシによる、ヒツマブシのための帝国の始まりについて、知ろうではないか。 注意！： これは愛知県の話ではありません。本作のヒツマブシはヒ…

都会から、仕事から、そして自分自身から…あらゆるものから逃げたかった主人公は、ある日、ふと目にしたバナー広告「一泊二日、山奥の古民家で過ごしませんか？」というモニター企画に応募し…

失われた夢と残された言葉。 水泳選手として将来を渇望されていた彼女は、事故により足を失い、文学に全てを賭けた少年は、病の床で静かに筆を置いた。 それぞれの「喪失」を引き継いで…

証拠がない犯罪を自白した犯人は刑事と共に屋上にあがる。

私は五万円札。ご承知の通り、現在我が国で流通している最高額の紙幣です――。 未来の日本で、新しい紙幣『五万円札』が発行された。それは、国家の威信をかけ、最新技術を惜しげもなく投入…

　被害者の死体が見つかった後、被害者が別の場所で歩いていることが確認された事件は幽霊の実在を証明しているなどと世間とオカルト雑誌をにぎわせていた。 　そんなオカルト的な事件を調査…

魔王と勇者の戦い。 そこに人格排泄のエッセンスを取り入れました。 割と真面目なシリアス作品です。 残酷ではありますが過激な描写は避けております。 エログロはないのでご安心を。

幽世にある反物屋の老舗「鬼反屋」。 主である麒麟の羽織を受け取りに行くことになった八咫烏。だがそこには彼に異常な執着を寄せる鬼の老店主が待ち構えている。 八咫烏はひなと共に店を…

過激な正義感を持つ中学生の「僕」と、隣のクラスの犯罪少女の話。

大変だ！野球星人が地球を侵略に来たぞ！ そこで立ち上がるのは史上最強の野球選手、王田２世！ だけど王田選手はもう引退しちゃってるんだよね？ いったい地球はどうなっちゃうの～！？ …

仲のいい幼なじみとの学校生活はいつまでも続くはずだった

母の危篤で高速道路を急ぐアンナは、いつのまにか「最低速度」が際限なく上がり続ける無人のハイウェイに閉じ込められる。オービスの眼とトラウマに追い立てられ、〈減速＝死〉の世界を疾走す…

　世界を巻き込んだ大戦が地上を荒廃させつつあった時、地下に逃れた人々がいた。 　そのうちのひとつ北関東国民保護シェルターは、事実上の日本国として運営に成功していた。理由のひとつに…

時間の巫女であり、宇宙タイムマシンを修理しつづけていた妹が死んだ。 彼女が亡くなってから、私は時間について考えつづけている。 私たちは時間が前に進むものだと、前にしか進めないもの…

　――桜になるつもりだった姉の死骸は、牡丹になっていた。 　膨れ上がった高齢者人口と思想が、葬儀件数と種類の増加、費用の高騰を招いて幾年。 　世に、死ぬと花になる薬が登場した。…

作家デビューを果たした二十代の「私」ペンネームの由来を問われ思い出す記憶は……？

アプリで匿名化された〈声〉がＳＮＳにあふれている。 学園祭で集めた投稿を再生すると――チャペルに流れたのは友人を殺す犯行予告。 しかも、それはすでに実行されていた。 偽神父ルーシ…

「判断と可能性、青空と廊下、多元宇宙とフランケンシュタイン」を増殖するドアが継ぎあわせるSF短編