日本テレビ系のバラエティ番組『ザ!鉄腕!DASH!!』を毎週楽しみに見ています。無人島を開拓したり、海岸の生態系を蘇らせたり、外来生物を料理したり、都心の屋上で農業を営んだり、大人たちが童心に返って大自然の中で戯れる姿にワクワクします。なによりすごいのは、それをやっているのが現役の男性アイドルたちというところ。昔の男性アイドルといえば、キラキラした衣装を着て、辛い顔ひとつ見せず、爽やかにステージの上で歌って踊り、ファンから「キャー!」と黄色い声援を浴びる存在でしたよね。ところが今は、アイドルなのに農作業をしたり、魚を獲ったり、巨大生物と格闘して泥だらけになったりする。しかも、それを嫌々やっているのではなく、本人たちが本気で楽しんでいる。もちろん、歌やダンス、見た目の華やかさも男性アイドルの大きな魅力です。でも、現代はそれだけではなくなったんですね。汗をかき、失敗し、仲間と笑い合い、ときには体当たりで挑戦する。そんな飾らない姿に親近感を覚え、憧れを抱くファンも多いのではないでしょうか。今回は、そんな「男性アイドル」特集です。男子だってアイドルに憧れます。アイドルのように輝きたいと思う少年は、きっとたくさんいるでしょう。それは、ステージの上にいる別世界の人間が放つキラキラではなく、現実の世界で夢や希望に向かって健気に努力する、私たちと同じ人間が放つ生命の輝きなのではないでしょうか。そんなアイドルたちの命の輝きを、ぜひご覧ください。

ピックアップ

「やってみたい」 その一言から少年の人生が輝き出す

  • ★★★ Excellent!!!

 都内に暮らす高校二年生の星川響は、韓国帰りの元アイドル練習生・小日向叶と出会う。たまたま響の弾き語りを聞いた叶は、「一緒にアイドルになろう」と声をかける。叶に誘われて初めて韓国アイドルのライブに参加した響は、その熱意と輝きに目を奪われ、少しずつアイドルへの夢を抱き始める。

 主人公の星川響は将来の夢もなく、これといって熱中できる趣味もない普通の高校生。そんなどこにでもいる平凡な少年がアイドルになっていく成長が眩しいんです。

 これまでの響は、「できる」「できない」と挑戦する前から自分で線を引き、夢を持つことさえ諦めていた。けれど本物のアイドルに圧倒され、生まれて初めて「やってみたい」という衝動が生まれる。まるで運命に肩を叩かれたように、空っぽだった内面に一気に溢れ出してくる情熱と興奮に引き込まれるんです。

 誰しも人生には、たった一度の出会いや、何気なく見たものによって、それまで価値観が一変してしまう瞬間があります。それが子供から大人への階段を登る、最初の一歩でしょう。もちろん、不安や迷いもある。それでも前へ進もうとする響の姿には、夢を持つ楽しさと、新しいことに挑戦する勇気をもらえます。

 響と同じように、毎日をなんとなく過ごしてしまっている読者も多いのではないでしょうか。そんな方にこそおすすめしたい作品です。きっと貴方の「やってみたい」を見つける手がかりになると思います。


(「男だって輝きたい」4選/文=愛咲優詩)

さあ、夢の舞台の幕を開けよう! 大物モデルが演劇アイドルに大転身

  • ★★★ Excellent!!!

 モデルとして活躍していた青年・酉脇城は、20歳の誕生日を機に「演劇×アイドル」を掲げる劇団『Curtain Rise』へ電撃移籍する。それをきっかけに諸事情から休止していた劇団が再び動き始め、舞台監督や脚本家など、実力派スタッフが集結。脚本が決まり、練習を重ね、やがて彼らの舞台の幕が上がる。

 主人公の酉脇は、業界でも屈指の人気モデル。しかし赤ん坊の頃から芸能界で活動してきたために、一般的な社会経験はゼロ! 見た目は完璧な美青年なのに、中身は世間知らずな若者というギャップが可笑しい。そんな大物モデルが突然、演劇の世界へ飛び込んだことで周囲は大混乱、慌ただしく準備を進めるスタッフとの温度差もコミカルで、思わず笑いがこみ上げてきます。

 さらに酉脇と組む共演メンバーに選ばれたのは、動画配信者に体操のお兄さんという、これまた異色の組み合わせ。経歴を見れば、舞台とは縁遠そうな彼らですが、どこか人を惹きつける愛嬌があるんですよね。それぞれの個性と才能をぶつけ合い、舞台を作り上げていく過程は、いつもサプライズに満ちた驚きの連続でした。

 一方、酉脇のファンたちは、彼の演劇への転向を頑なに受け入れない。果たして酉脇はファンの心を動かし、新たな「輝き」を魅せることができるのか。彼の第二の人生を懸けた、運命の舞台の幕開けに胸が高鳴ります。


(「男だって輝きたい」4選/文=愛咲優詩)

余りものアイドルを再定義! 元トップアイドルによるアイドル育成術

  • ★★★ Excellent!!!

 元人気女性アイドルの難波真利夏は、その経験を買われ、大手芸能事務所ヤギリプロモーションで男性アイドルのプロデュースを手掛けることに。彼女に選ばれた九人の候補生たちは、デビューを目指して力を合わせ過酷なレッスンの日々を重ねていく。

 トップアイドルとして活躍した難波だからこそ語れる『アイドル哲学』が深いんです。単に見た目、歌やダンスの技術を磨くだけではなく、「アイドルとは」を候補生たちに問いかけ、一人ひとりの個性や魅力を伸ばしていくマネジメントは、どんな仕事にも通じる教訓を含んでいます。

 そんな難波が選んだのは事務所内で「余りもの」と呼ばれる少年たち。双子のペア、日本語が通じない帰国子女、グループ活動が苦手な少年、ダンス初心者など、まさに寄せ集め。その彼らが、それぞれの事情を抱えながら「これが最後のチャンスだ」と覚悟を決め、目の前の課題に全力で挑んでいく姿が熱いんです。

 欠点や問題を抱えた九人が、励まし合い、ぶつかり合いながら、少しずつ「仲間」になって一つの目標に向かって進んでいく。何故、難波は彼らを選んだのか、その理由がなんとなく分かってきて、いつの間にか自分の子どものように思えて応援していました。

 果たして九人は、どんなアイドルへと成長していくのか。汗と涙を流しながら輝きを放っていく少年たちに声援を送りたくなる物語です。


(「男だって輝きたい」4選/文=愛咲優詩)

アイドルを夢見る二人の少年 その絆を揺らす、ひとつの恋

  • ★★★ Excellent!!!

 芸能事務所EMエンタテインメント所属の研修生・妹尾想太と藤澤琉生は同い年の中学三年生。入所以来ずっと一緒に過ごしてきた二人は、苦労も喜びも分かち合い、アイドルを目指してきた無二の親友だった。そんな二人の学校生活とアイドルの日々を描いた爽やかな青春ストーリーです。

 事務所に入ったときからずっと一緒で、いつも仲良しな想太と琉生。その二人の友情が、とにかく尊いんですよ……。

 関西生まれで、人懐っこく明るい性格の想太と、美少女に間違えられるほどの美貌を持つ琉生。性格も個性も正反対に見える二人ですが、妙にウマが合い、親友に相応しい相棒でありたいと常に切磋琢磨し、アイドルとして高め合う関係が微笑ましい。

 「いつか二人でアイドルとしてデビューする」。そう誓い合う二人でしたが、琉生の頭に一人の女の子の存在がちらつき始める。友情に恋という新しい感情が入り込み、これまでの夢に戸惑いが芽生えてしまう。友情と恋愛、夢と日常。その狭間で揺れ動く二人の姿が切なくて、とても愛おしい。

 夢を叶えるだけが幸せじゃない、別の青春の幸せの形も間違いではないからこそ悩ましい。思春期の葛藤を描いた作品でした。


(「男だって輝きたい」4選/文=愛咲優詩)