暑さが残る残暑もようやく終わり、秋が到来。と思ったのも束の間、今度は台風と秋雨前線まっしぐらの雨三昧。空の高さを楽しめる秋晴れの日々が、早くやってきてほしいところです。

 さて、このたびは「才能だけじゃ、物足りない! 型破りな選手たちの挑戦」をテーマに、スポーツ作品を4つ選ばせてもらいました。

 主人公たちは、本気で練習を重ね、悩みながらも少しずつ前へ進んでいく。勝つための努力は惜しまない。けど、競技を楽しむという初心も忘れない。それぞれの形で真剣にスポーツと向き合っていく姿が、今回の4作品の魅力です。型破りな才能を持っているからこそ、その先に何を求め、どう自分を変えていくのか。その過程にも、スポーツものならではの面白さがあります。圧倒的なプレーに爽快感を味わうもよし。主人公たちの成長を追いかけるもよし。作中の観客たちと一緒になって応援するもよし。

 型破りな選手たちの頑張りを、ぜひ楽しんでみてください。

ピックアップ

圧倒的なデカさと強さ。理屈抜きの爽快感

  • ★★★ Excellent!!!

 身長2m28cmという規格外の身体に成長することが約束された主人公が、圧倒的なフィジカルを活かして、バスケでNBAを目指す物語。

 身長に加えて、【健康】という転生特典を持っているため、巨漢ゆえの故障リスクを考える必要もなく、常に全力プレイで相手をねじ伏せる。気持ちよくコートを縦横無尽に駆け回り、豪快なダンクを叩き込むパワープレイが癖になります。一見「デカいだけで無双する話?」と思ってしまいますが、読んでみると、日本のバスケファンや、スペインの熱狂的な反応で、自然とテンションが上がり、彼らと一緒に楽しめます。

 高校には通わずスペインのプロリーグ入りを果たすなど、型破りなキャリア展開も魅力的。巨漢の見た目どおりの大食漢。もぐもぐ食べる健康優良児っぷりや、バスケ漬けの日々を楽しんでいる日常が垣間見えるのもいいアクセントになっています。

 細かいことを気にせず、主人公の活躍にワクワクできる、爽快なスポーツ小説が読みたい人にオススメしたい一作。


(「才能だけじゃ、物足りない! 型破りな選手たちの挑戦」4選/文=まろでぃ)

野球は未経験。体力や基本プレーも及第点以下。それでもプロの舞台に。

  • ★★★ Excellent!!!

 タイトル通り、17年間ひたすら公園の壁にボールを投げ続けてきた野球未経験の主人公が、なぜかプロ野球選手になってしまう物語。

 設定だけ聞くとかなり無茶なのですが、読んでみると「17年間の壁当て」がちゃんと主人公の武器として活きているのが面白い。野球のルールは漫画で知っている程度。体力や基本プレーは及第点以下。コミュ力も皆無。
 1人だけ完全に場違い。
 けど、限定的な投球という一点でプロを打ち負かすレベルに仕上がっている。この極端なアンバランスさが、癖になる作品です。

 とはいえ、主人公一人で無双するわけではなく、投球以外はチームメイトたちに全力でおんぶに抱っこ状態。トリッキーな戦術の要として、自分にしかできない役割を果たそうとする姿には、陰キャらしからぬ熱さもあります。またプロになってもコミュ障で陰キャなオタクという部分は変わらず、打席を怖がったり、投球日以外は「休み」と喜んだり、一般人感覚が抜けきらないというところも魅力の一つだ。

 「一点特化型。特化しすぎて、他がマイナスレベル」

 そんな主人公なので、王道とは一味違ったプロ野球ものを楽しめる作品です。


(「才能だけじゃ、物足りない! 型破りな選手たちの挑戦」4選/文=まろでぃ)

両手フォアで、テニス初心者が常識を打ち破る!

  • ★★★ Excellent!!!

 テニス初心者が「両手フォア」という強烈な武器を持って、気づけばテニスにどっぷりハマっていくスポーツもの。

 元野球少年が、「パコーン」と打ったら気持ちよさそう、くらいのノリでテニスを始める気楽さと、「両手フォア」というかなり常識外れな技術を自然と使う異質さ。そのアンバランスさがいい味を出している。

 武器は強力でも、初心者ゆえに最初は穴だらけで、荒削り。だからこそ、基礎を覚え、ルールを覚え、試合を経験し、少しずつ自分のテニスを磨いていく。この「初心者がテニスを覚えていく」過程が丁寧で面白いです。 また学習能力の高さに加えて、ヒロインのデータサポートが入ることで、成長が一気に加速していくのも絶妙。地味な練習も苦にせず、テニスを純粋に楽しんでいる主人公たちの空気がとても心地よいです。

 一歩ずつ強くなっていく王道の成長物語が読みたい人にオススメです。


(「才能だけじゃ、物足りない! 型破りな選手たちの挑戦」4選/文=まろでぃ)

昭和のプロ野球に、ドイツからとんでもない助っ人がやってきた

  • ★★★ Excellent!!!

 転生した主人公がドイツ人選手としてプロ野球の世界に入り、京都の弱小球団の一員として活躍していく物語。

 舞台となるのは昭和のプロ野球。今とは比べものにならないほど試合日程が詰め込まれ、暴力や賭博、八百長といった問題も存在する、荒々しい時代。 そんな時代に、現代の野球知識を持った規格外の外国人選手が加わり、チームに馴染みながら無双していく。

 打って、守って、走って活躍するのはもちろん、現代的な練習方法を取り入れ、選手の育成にも関わっていく。主人公を中心に、少しずつチームそのものが変わっていく過程も魅力的です。

 この作品の面白さは、単純に「最強の外国人選手が無双する」というだけではありません。
 昭和プロ野球の浪漫と荒々しさ、そして規格外の転生主人公による野球無双。その両方を楽しめる作品です。


(「才能だけじゃ、物足りない! 型破りな選手たちの挑戦」4選/文=まろでぃ)