皆さんは最近、新しい人と交流したり、人間関係を広げたりしましたか? 私はVtuberとして年間100人くらいとコラボしていて、そのうち20~30人ほどは初対面の人だったりします。人によっては「初対面の人と何を話していいかわからない」と、ストレスを感じることもあるそうですが、話題なんて自分の好きなことでいいと思うんですよね。最近なら「月見バーガー食べた?」とか、「『VIVANT』見てます?」くらいでも、自然と話が盛り上がります。くだらないショート動画も、ぼんやり眺めていると面白い雑談ネタが入ってきます。例えば、馬の蹄鉄を交換する装蹄師の動画をご覧になったことはありますか? ナイフ一本で蹄を整えていくプロの技が、見ていて気持ちいいんですよね。日本でも海外でも動画がたくさん投稿されていて、実はかなり人気のコンテンツだったりします。どんなにくだらない会話でも、「一度でも相手と話した」という事実を作っておくことが大事です。それだけで次に話しかけるハードルが下がり、自然と会話のラリーが続くようになります。まあ、実際には、そこまで意図して考えながら話しているわけではありません。正直、いつも何も考えずに話しています。だいたいがアドリブです。なにせ、この文章ですら適当に話題をつなげているだけですから。とはいえ、普段からいろんなものにアンテナを張り、興味の幅を広げて話題の引き出しを増やしておくことは、創作においてもきっと役に立ちます。おや? なんとなくカクヨムの雑記っぽく話をつなげられましたね。創作のネタを増やしたいなら、やっぱり他人が一番の情報源ですよ。現実には、創作より面白い人たちがいっぱいいるんですから。皆さんも、もし機会があれば、初対面の人とも思い切って話してみてください。思わぬところから、創作のネタが見つかるかもしれません。ただし、やりすぎて不審者と思われないように、そこだけはお気をつけください。
地方貴族のカルディア男爵家の三男・ノアは転生者の少年。いつも自由気ままに行動しているだけなのに、彼の言動を周囲は勝手に深読みしてしまう。その結果、領地の問題を解決し、人々を助け、ついには王国を滅亡の危機から救ってしまう。ひとりの少年が世界を変えていく勘違い英雄譚です。
「芋が食べたい」と思いついて畑に芋を植えてもらっただけなのに、たまたま飢饉が起きて領地が救われる。カッコイイからと覚えた雷魔法を適当に放ったら、盗賊や密偵を一網打尽にしてしまう。興味本位で遺跡に足を踏み入れれば、運よく古代の遺物を発見してしまう。本人に大それた意図はないのに、いつも無自覚に成果を上げ、周囲から天才と讃えられていく「勘違いもの」のお約束展開が実に愉快です。
しかし何より他と違うのは、旅を愛するノアの行動力です。「面白そうだから、行ってみたい!」と、王国の各地の山や森、遺跡や観光地、蚤の市や屋台街へと飛び出していく。人生と冒険を心から楽しみながら、自分の世界を広げ、新しい人間関係を結んでいく。そんなノアの夢とロマンを追い求める生き方が大好きなんです。
「やってみたい」。そんな好奇心で自分の世界は、いくらでも変えられることを教えてくれます。ノアの予測不能な大活躍を、ぜひお楽しみください。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)
とある地方空港に突如出現した迷宮によって、職場をクビになった元管制官・塔野徹。時間を持て余した彼が始めたのは、深夜の動画配信だった。暇人たちが集まる弱小チャンネルだったが、ある晩、迷宮から救難信号が届く。遭難者を無事に帰すため、管制官として培った知識と経験を駆使し、彼らを誘導することに……。
現代ダンジョンものながら、主人公の塔野は一度もダンジョンに入りません。しかし空港の構造を熟知する彼は、配信を通して遭難者と交信し、わずかな手がかりから現在地を特定。安全な脱出ルートを見極めて出口まで導きます。ただの道案内ではなく、冷静に状況を整理して相手に伝達する「管制の仕事」が描かれているのが面白いんですよ。
配信に集まるリスナーたちも魅力的です。タクシーの運転手、看護師、山岳ガイド、弁護士など、さまざまな分野の専門家が集まり、救助に必要な知識や情報を提供していきます。深夜の配信にも関わらず、いつしか視聴者は四千人にまで膨れ上がる。遭難者の無事を願う四千人の小さな善意が、大きな力になっていく光景に胸を打たれます。
しかし塔野の配信はあくまで非公式のボランティア活動。やがて、その安全性や責任を問う声が上がり始める。果たして彼の善意は、社会に認められるのか。知識と経験、そして人と人との繋がりで迷宮に挑む、ひと味違ったダンジョン攻略ものです。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)
現役を退いた元バイク整備士・本多一郎。ある日、彼は時間を移動する能力に目覚める。唯一無二の異能の使い道として本多が選んだのは、かつて憧れたホンダの名車を過去から集め、日本全国のバイク好きのためのミュージアムを作ることだった。
もしも過去に戻れるなら「競馬や宝くじを当てて贅沢三昧!」なんて誰しも考えますよね。しかしこの主人公の本多は、大好きなバイクに全力を注ぎ込むから痛快なんです。60~80年代のバイクショップに飛べば、現代ではプレミアとなったバイクを好きなだけ買えるんですから、趣味人ならばどんな贅沢より楽しいでしょう。
作中に登場するのはホンダの歴史を彩った名車の数々です。モトコンポのように有名な車種から、CR93、RS500R、CB1100Rといった型式だけではピンとこないバイクまで。しかし調べてみれば、「昔の映画やドラマで見たことある!」と思い当たる車種ばかり。次第に増えていく名車コレクションに、こちらまでワクワクしてきます。
そして何より心温まるのが、バイクをきっかけに本多が出会う人々との繋がりです。ショップの店員、工務店のデザイナー、ミュージアムに集まる若者、そしてホンダの現役社員たち。大好きなバイクを前に少年のように目を輝かせ、青春の思い出を語り合う男たちの姿が純粋で、自分もその輪に加わりたくなります。
なぜホンダのバイクは、これほどまでに人々に愛されるのか。昭和の時代を熱狂させ、技術や夢を未来へ繋ぐ技術者たちの思いに心を揺さぶられます。すべては世のため人のため、日本が世界に誇る『ホンダイズム』を物語る一作です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)
小説家を志しながらも、十年間、公募に落ち続けた作家志望の青年・穂村久遠。ふとしたきっかけでカクヨムに投稿したホラー小説が異例の大ヒット! 念願の書籍化が決まり、ついに作家デビューを果たすことに。しかし穂村にとっての本当の「地獄」はここからだった……。
書籍化に喜ぶ穂村のもとに押し寄せる、修正と校正の嵐。さらにイラストレーターの選定や挿絵の確認、装丁のチェックなど、本業を抱える兼業作家の穂村に抱えきれないほどの作業が降りかかります。そんな苦難の数々があまりにもリアルで、思わず背筋が震えました。これはまさしく創作の世界を舞台にした「ホラー」です。
そんな穂村を支える編集者の桐島さんの仕事ぶりに惚れるんです。本のためなら恋も人生も擲つ桐島さんの情熱と覚悟には圧倒されます。ときに書籍化は作家と編集の二人三脚といわれます。どちらが欠けても本は完成しない。作家にとっても、編集にとっても、我が子のように愛おしい存在なのだと伝わってきます。
しかし二人で心血を注いで作り上げた一冊は、厳しい競争に埋もれて、まさかの打ち切り。無力感と喪失感から穂村は大スランプに陥り、ついにはストレスで倒れてしまう。果たして穂村は、作家を続けることができるのか。本気で作家を目指す人なら、いずれ誰もが向き合うことになる「夢と現実」を描いた物語です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)