9月に入り、少しずつ秋の気配を感じるようになってきました。季節の変わり目に、いつもとはちょっと違う物語を読んでみるのはいかがでしょうか。
今回のテーマは「ひと味違う!魔法少女ファンタジー」。
「魔法少女」と聞くと、華やかな衣装に身を包み、不思議な力で悪と戦う少女たちを思い浮かべる方も多いはず。けれど、その設定や活躍の仕方は作品によって実にさまざまです。
王道にひとひねり加えた設定や、「そんな魔法少女もアリ!?」と思わず驚いてしまうような物語まで。ひと癖もふた癖もある魔法少女たちの活躍を、ぜひお楽しみください!

本特集に選ばれたレビューをご投稿いただいた方には、9月中に500円分の図書カードをお送りいたします。今後とも、素敵なレビューのご投稿をよろしくお願いいたします。

ピックアップ

赦せる!『私、何かやっちゃいました?』

  • ★★★ Excellent!!!

前世らしき記憶が薄っすらとある自称地味系メガネ魔法少女ヲタクな主人公が何故か魔法少女に覚醒してしまい『推しに認知されたいけど、推しになるのは解釈違い』と無自覚にとんでも活動しながら百合フラグを立てまくる作品です。
本人が魔法少女と成り目立つ事を忌避していたせいか、『私、何かやっちゃいました?』なシーンがありますが本人の自己評価に低さと魔法少女へのリスペクト、ヲタク特有の気を許した人に対する遠慮のなさが相まって何故か赦せてしまいました。

闇堕ち

  • ★★★ Excellent!!!

面白いです。曇らせ作品はキャラの内面描写が多くなるからテンポのつり合いが難しくなるけど、本作はキャラの内面の動きがしっかりしていている上でストーリー展開も遅くならずに読みやすい。
非常に面白くはあるんですけど、主人公の境遇に感情移入しすぎちゃって、バットエンドを期待してしまう自分がいます。

市民側をアメコミの住民並の民度の低さにして、正義の組織を腐らせた感じ。そら闇堕ちもするわなと。
果たしてこの街は命を賭して守る価値があるのか、魔法少女たちが考えない辺りは年相応と言えるのかもしれません。
現状を流れでは、想定しうるバッドエンドへ進む形では無さそう。
「光堕ち」と言えば聞こえはいいですが、主人公がひたすらに搾取され続ける側で見ていて辛い部分も。
正直、絆す絆されないのラインをぶっちぎって闇堕ちしてるレベルだと思ったので。

作中の世界にとってのハッピーエンドか、物語としてのハッピーエンドか。
どのように着地するのかとても楽しみです。

巧みな構成と生々しい描写

  • ★★★ Excellent!!!

プロローグの衝撃的な引きから、倫理的ジレンマという課題の提示……という展開が見事です。

飢餓感の描写、人間の食べ物を受け付けない吐き気、意識に反して変身していく恐怖——感覚として伝わる文章力の高さが構成されている。

研究資料を通じて、世界観を開示する手法も巧妙です。
説明的にならないのは作品に重要な要素。
それをうまく利用してるのは読者に優しい設計だと思いました。

続きが非常に気になる作品です。

人の助けを呼ぶ声あらば、燐光纏いて私は来よう

  • ★★★ Excellent!!!

ヒーローモノの登場シーンってだいたいセリフあると思うんだけど、主人公の登場ゼリフが本当にアツイ。

とある理由で魔法少女やめちゃうんだけど、目の前で苦しんでいる人がいるとついつい助けちゃう。そんな主人公です。
誰かの守りたいモノ、誰かを守りたい想い、他にもいろんなもののために、そういうのを全部背負い込んで変身します。人々が諦めや絶望に飲み込まれないために。


「人の助けを呼ぶ声あらば、燐光纏いて私は来よう
悪を断つ銀のシリウス、魔法少女エリュシオン」

あともっと先輩ヅラしてほしい。