小説を読むとき、次に読む作品を探す手がかりのひとつとなるのが「おすすめレビュー」です。作品の魅力を深く伝えるレビューには、未読の人にとっては興味をもつきっかけになり、既読の人にとっては作品の面白さを再確認したり、新たな視点をもたらします。カクヨムには、そんな思わず「いいね!」を押したくなるレビューがたくさんあります。
今回の特集では、2026年6月~7月に投稿されたおすすめレビューの中から、特に「いいね!」が多くついたレビューをピックアップしました。
気になるレビューがあれば、ぜひ読んでみてください。新たな自分好みの作品に出合えるはずです。
また、「このおすすめレビュー良かった!」と思ったら、ぜひ「いいね!」を押してみてください。レビューを書く人の励みになり、良質なレビューが増えるきっかけになります。
そして、まだおすすめレビューを書いたことがない方は、作品を読んだ後にはぜひレビューを書いてみてください。あなたの感想が、誰かの「次に読むきっかけ」になるかもしれません。

本特集に選ばれたレビューをご投稿いただいた方には、8月中に500円分の図書カードをお送りいたします。今後とも、素敵なレビューのご投稿をよろしくお願いいたします。

ピックアップ

スパイス香り、政治的思惑が渦を巻く。読み応えあるグルメ×後宮ミステリー

  • ★★★ Excellent!!!

シャハラは王城の厨房で働く料理人だった。しかし、王都が帝国に急襲されたことで日常が一変する。自死した王女とよく似た容姿をしていた彼女は身代わりにされ、帝都の後宮に連れ去られてしまうのだった。

 圧倒的な臨場感に冒頭からグッと引き込まれました。情景が見える、音が聞こえる、においがする、空気感が肌から伝わる。場の緊迫が、シャハラの気持ちが、目にした惨状が。まるで自分の五感を通したかのように鮮明に広がりました。文字を読みながらにして、私は間違いなくファルハの地を踏み、シャハラが運命の岐路に立たされる瞬間に立ちあっていました。

 読んでいて浮かび上がったのは「戦」のイメージです。
 まず、シャハラにとっての戦。それは生き延びること。生きるためには食べなくてはならない。料理人である彼女は持ち前の技術と知恵で「調理」という戦を制し、そうして生み出した料理で周りの人間まで制します。
 調理、食事のシーンは本当に美味しそうで、とても引き込まれました! なぜそうするのか、どうしてそうなるのか。手順の意図や食材の性質、科学的な知見をまじえた論理的な描写には好奇心が掻き立てられたし、説得力がありました。すごいもの、高度なもの、繊細なものを作っているんだという高揚がありました。また、できあがった料理の上品で繊細な味わいも伝わってきて、まるで登場人物と一緒に料理を味わっているような心地にもなれました。「そんな味や香りがするんだ!」と思えました。
 ダムヌーシュ、フェルニ、サハレブ、クルチェといった中東の食べ物は聞き慣れないものばかりですごく興味がわいたし、読みながらどんなものか検索しましたし、実際に食べてみたくなりました!

 「戦」のイメージのもうひとつが、カムランにとっての戦です。様々な思惑が渦巻く宮廷では、様々な政治的闘争が起きています。各々が自分の戦略を持ち、戦に勝利することもまた、生き延びることなのです。
 第十二皇子であるカムランの持つ情報、そこに料理人であるシャハラの視点が加わると、今まで見えなかったことが浮かび上がってきます。二人が揃えば、新たな戦い方ができる。鋭利な一面のあるカムラン、仇討ちを望むシャハラは、二人一緒だからこそ、「生きる」ということの新たな段階に足を踏み入れたように思いました。
 闇を追った先には何が待ち構えているのか。二人はどこにたどり着くことができるのか。物語はこの先まだまだ渦巻いていきそうで、とても楽しみです!

(※第22話までを読んでのレビューです)
【レビューコンテスト応募】

応援しております!!

  • ★★★ Excellent!!!

ずっと大好きだった作品にまた出会えました……!
アルファポリス掲載時から楽しく拝読しており、以前からこちらのサイトでもフォローさせていただいておりました。
アルファポリスで削除されてしまった作品が、タイトルを新たにこちらのサイトで再掲載されているとネット(Yahoo!)で知り、嬉しくてすぐに舞い戻って参りました!
ずっと先生の紡ぐ物語やキャラクターが本当に大好きでファンでしたので、再び始まる物語をリアルタイムで追いかけられる幸せを噛み締めています。これからの更新も心から楽しみにしております!

自分が特別じゃないと知るとき、魔術はどんな言葉を囁くのだろうか。

  • ★★★ Excellent!!!

杖に焦点を絞った浪漫のある魔術のシステム。
挫折を知った青年と何事にも情熱を向けられない少女の師弟関係が生む健気な人間ドラマ。
本作ではファンタジーな世界の住人として味わえる高揚感と、リアルな世界の読者として共感できる感動をいっぺんに得ることができる。

少女は魔術を学び、進むための情熱を手に入れる。
青年は魔術を教え、戻るための理由を手に入れる。

「特別」という言葉が彼女たちの行く末を拒む障壁にはならないことを「魔術」という存在は肯定してくれるのだろうか。
否、「特別」という言葉がどこかで的はずれだということを私たちは知っているのだから、彼女たちの歩む道を信じ応援することができるのだ。

実直で心温まるマジックファンタジーは今、あなたの手元にあかりを灯す。

【レビューコンテスト応募】

現実世界の不条理をなかなか消化できない自分には、眩しいヒロインです。

  • ★★★ Excellent!!!

作者様の作品の中で、一番せつなく感じながら読んでいます。ドアマットヒロインがいるわけでもなく、わかりやすい外道がいるわけでもなく、ざまぁがスカッと展開されるわけでもないけど、なぜか感じるせつなさは、誠実に向き合っても不条理で返されたときに感じる、あのなんとも言えない気持ちです。

でも賢いアデレイドは、ロジャーやマルグリットでは得ることのできない価値観を持ってハッピーエンドを迎えるのでしょうね。

自分のように不条理を簡単に消化できない人間や、一つの思い・価値観に囚われるロジャーやマルグリットは、何かよくわからないせつなさを抱えながら生きていくのでしょう。

他所にはない、作者様独自の世界観が味わえるいい作品です。天の邪鬼な私は、商業化されず、手直しされないまま残るといいなぁと思ってしまいました。

僭越ながら、作者様が思いのまま執筆するのを願って応援しております。