概要
夫には、愛する人がいる。
アデレイドの、ロジャーに対する印象はお世辞にもよいものではなかった。
婚礼を一年後に控えた春の庭園で、ロジャーは婚約者であるアデレイドに言った。
「当家の事業にも、私の執務にも、口出しも興味も関心も無用だよ」
帰宅するロジャーを見送ると、
「なんと失礼なことを仰るのでしょう」
後ろに控えていた侍女のセルマが、アデレイドの胸の内を代弁してくれた。
二歳年上のロジャーは、家柄だけでなく見目の良さ、成績優秀であることも相まって、学園でも目立つ生徒の一人だった。
彼の周囲は高位貴族の子女ばかりで、中には王家の縁戚にあたる公爵家の令嬢もいた。
その公爵令嬢マルグリットに、ロジャーは惹かれていたようだった。
だが、政略の切り札となる公爵令嬢が国内の貴族に嫁ぐことはなく、マルグリットはその
婚礼を一年後に控えた春の庭園で、ロジャーは婚約者であるアデレイドに言った。
「当家の事業にも、私の執務にも、口出しも興味も関心も無用だよ」
帰宅するロジャーを見送ると、
「なんと失礼なことを仰るのでしょう」
後ろに控えていた侍女のセルマが、アデレイドの胸の内を代弁してくれた。
二歳年上のロジャーは、家柄だけでなく見目の良さ、成績優秀であることも相まって、学園でも目立つ生徒の一人だった。
彼の周囲は高位貴族の子女ばかりで、中には王家の縁戚にあたる公爵家の令嬢もいた。
その公爵令嬢マルグリットに、ロジャーは惹かれていたようだった。
だが、政略の切り札となる公爵令嬢が国内の貴族に嫁ぐことはなく、マルグリットはその
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!現実世界の不条理をなかなか消化できない自分には、眩しいヒロインです。
作者様の作品の中で、一番せつなく感じながら読んでいます。ドアマットヒロインがいるわけでもなく、わかりやすい外道がいるわけでもなく、ざまぁがスカッと展開されるわけでもないけど、なぜか感じるせつなさは、誠実に向き合っても不条理で返されたときに感じる、あのなんとも言えない気持ちです。
でも賢いアデレイドは、ロジャーやマルグリットでは得ることのできない価値観を持ってハッピーエンドを迎えるのでしょうね。
自分のように不条理を簡単に消化できない人間や、一つの思い・価値観に囚われるロジャーやマルグリットは、何かよくわからないせつなさを抱えながら生きていくのでしょう。
他所にはない、作者様独自の世界観…続きを読む