9月に応募が終了した「カクヨム甲子園2023」。高校生の皆さんの執筆を応援すべく、応募終了後に再度開催した「レビューキャンペーン」にて、期間中に投稿されたレビューの中から、運営スタッフにより4本、レビューを選ばせていただきました。あらすじを要点を押さえてわかりやすく説明しつつ、作品の美点を射抜いていたり、作品から想起された経験を等身大に語っているレビューは、短くてもそのまま作品ページへ引き込まれるような力がありました。また、惜しくも4選には漏れたレビューにも、素敵なものがたくさんありました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
 「カクヨム甲子園2023」この後もぜひ応募作品にご注目ください。

ピックアップ

死体が二つ、何ゆえに。

  • ★★★ Excellent!!!


 海の上に二つの死体が浮かんでいる。
 その海は自殺の名所で、この世に絶望した人達が飛び込んでいるのだ。

 今宵もまた、死に場所へと向かっていく人物が――



 ゾッとくるショートショート。
 様々な推測をしながら読み進めていくわけですが、キレの良いスライダーのごとく抉ってきます。
「違和感を覚えた時にはもう手遅れ」といった感じが、この物語の特長になっているなと思いました。

 不気味な余韻を残しつつ終わる文章は、阿刀田高さんのショートショートを思わせるものでした。

それは身近な病

  • ★★★ Excellent!!!

認知症になってしまった、大好きなおじいちゃんとおばあちゃん。
高校生の孫の視点で描かれる、大切な人達が病に冒され進む変化と支える家族の大変さ。
介護や看病の苦労の実態はそばにいる人が一番痛感しています。
認知症がいまいちどんな病気か知らない、身近ではない人達にも読んでもらいたい作品です。

努力は報われるのか?

  • ★★★ Excellent!!!

最後のさくらちゃんのモノローグが心にずしんときます。人一倍努力すれば、おのずと成果はついてくる。本当にそうなのでしょうか?

人より少しリードした位置でスタートを切ったけれど、次第に追いつかれ始める。自分では努力しているつもりなのに、ちっとも成果は伴わず、差は縮まるばかり。努力していれば必ず成果に結びつく、そう信じて努力し続けるものの、自分の努力はどうやら実を結ばないようだ。そう気づくころには、もうゴールが見えている。今までの努力は、いったい何だったのだろう?

弓を引く緊迫感あふれる描写の心地よさとともに、悠希とさくらの対比にぞくりとさせられる作品です。

奇妙でシュール、面白すぎる。この作者、何をやってくれるんだと期待

  • ★★★ Excellent!!!

作者は何を目指しているのか。

鋭い風刺か、はたまたナンセンスか。

読み進めながら、それが気になって仕方がない。

文章が上手いので、絶対オチも上手いだろう、と思っていた。期待以上でした。

これ以上書くとネタバレになります。

読んでください!