2024年10月に募集した24歳以下の作家限定の公式自主企画「カクヨムU-24杯」。未来の小説業界を担うであろう若き才能たちが集結し、全体で300を超える作品が応募されました。
今回の特集では、「カクヨムU-24杯」レビュー応援キャンペーンにご参加いただいたレビューの中から、運営スタッフにより4本を選ばせていただきました。キャンペーンにご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました!
瑞々しい感性で描かれた作品を通して、若き作家たちの新しい可能性に触れてみてはいかがでしょうか。
ぜひ、作品を読んで新たなお気に入りを見つけてください。
狂気と純愛が彩る素敵な短編。
短い物語の中に様々な感情の機微が描かれ、胸が締めつけられる思いでした。
甘酸っぱくも仄暗い、二人の今後の幸せを願っております。
この度は素敵な物語をありがとうございます。
有名なピアノ曲をヒロインの複雑な心境に重ね合わせて描かれた作品でした。
純粋に『小説』としても完成されていて、また、作中に出てくる曲を聞きながら読むことで、2度楽しめました。
この作品の良さは、実際に読まないと分からない。ここでいくら語っても、本作の素晴らしさにはかなわない。
ぜひ御一読ください。
自分の姿が他人に見えなくなってしまった主人公の優人。
自分は生きているのか死んでいるのか? 恐怖と孤独、「死ぬのは怖い」と感じた優人は自分の姿が見える人はいないか探すことに。
そして見つけた。その相手は……。
優人と綾佳の出会い(高校時代の同級生なので再会)、デート、同棲生活は幸せそのものでお互いベタ惚れのベストカップル。
綾佳は優人が自分にしか見えてないことを独り占めできて嬉しく思っているのでは? と感じたほどです。
けれどそんなことありませんでした。綾佳は二人で入った飲食店で店員におひとり様として対応されたことに傷つきます。
それでも二人の仲は変わらない。優人は自分が生きているのか死んでいるのか疑問を解決するという本来の目的を忘れて綾佳と過ごす日々に夢中になりますが……。
5日目の朝、二人はある決意をします。
私は思ってもいなかった展開に頭がついていけず、最終話を読み直しました。私は「世にも奇妙な物語」など予想外の展開で終わる作品が好きなので楽しめましたが、まさか、この作品が! という驚きがありました。
最終話の展開、読者の皆様はどう捉えるでしょうか?
生きるために創作をするのか。
創作をするために生きるのか。
人が何かに囚われる為の理由など、案外些細なことで十分なのかもしれない。
男は医師から診断を受ける。
病名もなし。病気がどうかも分からない。創作物に命を吹き込みすぎたのが原因で、創作をやめるか、生きるのをやめるかの二択を迫られる。
ひとりの人間の。
命を懸けた最後の創作は始まる。
主人公と二人の女性の視点で描かれるのは淡く静かな物語。ただの日常の話。
断片的に進んでいくのはすれ違いのような物語で、読み進めると次第に点と点が繋がっていきます。人物同士の付かず離れずのやり取りはもどかしさがありつつも、この世界で生きているんだという妙なリアリティがありました。
作中通して心理、情景描写が丁寧で重厚なので最後まで美味しく頂けました。
また、どこか現実感のある表現と擬音が、命を文字通りに削って創作をするという、ファンタジー的な設定をより引き立てているように感じました。
まるで、実在した人物のノンフィクションな出来事かと錯覚してしまうような、巧みな文章と共に一人の創作家の物語を。いや、人生をお楽しみ下さい。