死体が二つ、何ゆえに。


 海の上に二つの死体が浮かんでいる。
 その海は自殺の名所で、この世に絶望した人達が飛び込んでいるのだ。

 今宵もまた、死に場所へと向かっていく人物が――



 ゾッとくるショートショート。
 様々な推測をしながら読み進めていくわけですが、キレの良いスライダーのごとく抉ってきます。
「違和感を覚えた時にはもう手遅れ」といった感じが、この物語の特長になっているなと思いました。

 不気味な余韻を残しつつ終わる文章は、阿刀田高さんのショートショートを思わせるものでした。