季節も少しずつ秋に近づいてきて、夏の風物詩、「カクヨム甲子園2023」も応募総数2,002作品にて、昨日9月10日をもって閉幕しました。これから選考が進んでいくわけですが、その間、先日の「カクヨム甲子園2023」参加者応援!レビューキャンペーンで集まってきた素敵なレビューを紹介させてください!
 読書の秋、夏の残響を味わう気分で高校生の渾身の作品を愉しむのも素敵ではないでしょうか。
 本特集では、ロングストーリー部門・ショートストーリー部門からそれぞれ4作品ずつご紹介いたします。気になった作品は、ぜひぜひ読んでみてくださいね。

ピックアップ

青、蒼、あお

  • ★★★ Excellent!!!

斜に構えたように、ある意味で「らしい」クラスメイトを見る僕と、そして少し特別なクラスメイト。
夏の青空、青い春。
己の心はままらないもので、その感情が何であるのかは、きっと自分でも説明ができない。

それでもこれは、きっとかけがえのない一瞬一瞬で。
彼らが先で共に歩んでも、離れても、いつかこんなことがあったのだと思い出すことでしょう。

ぜひご一読ください。
この作品には、青さが詰まっている。

男の子の持つ強さと弱さと。

  • ★★★ Excellent!!!

少年は無謀なもの。
そして繊細なもの。
臆病なもの。

怖がり、時々、勇気。

でも、何かを守りたいという心を本能的に持ち合わせている。

そして出逢いがそれを芽生えさせる。

その発露の場面は何かへの憧憬だったり恋だったり。

その瞬間を垣間見れる良作。

共に景色を見ているようだった

  • ★★★ Excellent!!!

とても綺麗な話だと思いました。
あの時間帯ならではの空の色や空気、虫の声などの美しさはとてもよく分かります。自分も欠片を小瓶に詰めていつまでも眺めていたい。
時間の隙間という表現がとても好きです。素敵。

端正な文体で紡がれる、本を巡るちいさなお話。

  • ★★★ Excellent!!!

学級文庫、なつかしい響きだ。
新任教師のさいしょの仕事で学級文庫を作った先生と寡黙な生徒のお話である。

自然でいて流れるようにストーリーが紡がれている。筆者は高校生だというが、大人でもこのように気取らない文体で書けるひとは少ない。正直羨ましいと思う。

先生と生徒の心の触れあいを学級文庫という身近な題材で描きだしたところは、とてもいい。

先生の生徒との距離感を間違えてしまうところも、リアリティがある。生徒の凛がどうしてこんなに本に向き合うのかは読んでみてもらいたいが、ひとつヒントを与えるなら、それは空想のなかのとある知っている人との対話なのだ。その彼との対話が見えなかった真実を描き出したとき、ハッとした。

文体が優しく、するすると流れていくようでいて、グリッサンドという耳慣れない言葉を出すことで、本だけだった世界から音や雰囲気、色彩が溢れ出てくる場面が印象的だ。

この作品は本というものが実は一人孤独な世界ではなく、自由で広がりを持った誰かとつながれる世界であることを教えてくれる、そんな優しいお話だと感じた。

この高校には「何か」がある!?

  • ★★★ Excellent!!!

この物語で起こるのは、どこにでもある盗難事件。
しかし、この高校では以前にも事件が起きたことがわかる。
学園探偵と呼ばれるふたりは、事件を解決することができるのか?
そして、主人公に隠された秘密……
一度読んだら、また読み返したくなる仕掛けがいっぱい!
そしてぜひ続編が読みたい!
応援します!!

貴方の人生のどこかに、繋がりますように

  • ★★★ Excellent!!!

現役の高校生の綴る自身の闘病生活。
目の前にある当たり前の日常が崩れた時、
人は何を思い、何を感じ、何を行おうとするのか。
病気をして初めて知り得ること、
今一度自身と向き合う機会を与えてくれる大切な物語。
悔いのない人生を送る、一日一日を大切に生きる、
忘れかけていた気持ちを呼び覚ましてくれる、そんな命の物語。

病名、症状名が明らかになるというのは大事ですよね。

  • ★★★ Excellent!!!

それで一気に理解が進む。周囲からも、自分自身に対しても。
それである意味、自分は正常だったんだと思える。
仲間もできる。

私には特にそうした障害等はありませんが、今までどこか理解できなかったあの人やこの人――そうした人たちも実は……と想像力を働かせると、次からはもっと上手に接することができるのかもしれません。
いえ、私だけでなく、きっと誰もがそうなんでしょう。