秋が深ぇ!
10月入ったころはまだ暑かったはずなのに、中旬ど真ん中(この雑記を書いているのが15日!)の今はなんか寒いという。こういう寒暖の落差、キライですわぁ~。
ともあれ。実はこの10月でわたくし、またひとつお歳を召しました。それこそ祝うよりも呪うレベルのお年頃なわけですが、呪いに負けることなく、この1年も表面上は愉快に過ごしてゆくのだと思いを定めたりいたしましたよ。
そんなわけで、今月もみなさまにぜひ出逢っていただきたい新作4選、ご紹介させていただきますー。

ピックアップ

姫は自分を殺した国へ再び嫁ぐ! そして祖母は暗躍す!

  • ★★★ Excellent!!!

フェルノア帝国の皇帝に望まれ、嫁入りすることとなったフルール国王女、クロエ・フルール。帝国とは釣り合いようのない小国の姫を正妃として娶る。破格の条件を提示されながら、クロエは正妃ではなく側室になると不可解な答を返すのだ。そう、二度と繰り返さないために――皇帝の妃となって断罪された、クロエ・フルールの悲劇を回避するために。

転生ならぬ逆行……すなわち人生やりなおしをテーマにしたお話です。そしてなにより、タイトルにも掲げられている“おばあさま”、ルナティアさんの関わりがひとつのカギになっているのがおもしろい!

ルナティアさんの暗躍とそれにとどまらない活躍が、やりなおしなだけだったはずのクロエさんの人生に「予想外」をもたらしていく。それが新たな展開とドラマを生み出し、クロエさんを彩る。唸りましたね、このおふたりの関係性の深さと、その基にあるキャラクター設計の細密さに。

表裏一体なキャラクター小説、ストレートにお勧めです。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

主人公は女子高生――の周りにいる名もなきモブキャラさんたち!

  • ★★★ Excellent!!!

秋津北高校に通う一年生、御堂和音が同級生から告白された。たったそれだけのことから始まったのは、御堂和音を中心に据えた大げさでささやかな群像劇だった!

あらすじ短めですが、内容は超濃厚盛り盛りです! なぜならこのお話、告白事件の被害者(?)でもある和音さんではなく、彼女と直接的、間接的に関わるクラスメイトや他校の高校生……すなわちモブのみなさんが主役なので。

みなさん、和音さんとの距離感がちがいますし、そうであればこそ当然、立ち位置もちがいます、だからこそ、同じ和音さんを見ていながら心情の温度もまちまちなのですよね。みんなちがってみんないい、じゃないですけど、これだけバラエティな群像を描ける筆力の高さ、讃えるしかないでしょう! そしてそのバラエティさが、輪の中心に在る和音さんを鮮やかに浮き彫っていることも見逃せません。

モブなのに個性輝くキャラクターたちの有り様と、和音さんを巡る物語の行方、どちらも超気になる作品ですよ!


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

ひとりの男が生きて死んだ話、それを語った理由は――

  • ★★★ Excellent!!!

唐突に現われた男は彼へ幽霊だと名乗った。そして、なぜいきなり話しかけたのかと問うた彼に対し、答えるのは後回しだと前置いた幽霊は、あらためて言うのだ。――わたしが死んだときの話をしよう。

男幽霊が淡々と自分の人生を語る。それだけのお話かと思いきや――実はその「なんでもなさ」のすべてがオチのためにあるのですよ!

オチを利かせる方法は多々ありますが、そのカタルシスを大別すれば驚愕の「そうだったのか!」と腑に落ちる「あー」になるかと思うのです。そしてこちらのお話は後者。この語りが結局どうなるんだろうかと思いつつオチへ辿り着いた瞬間、「あー」。そして読者は知るのです。このお話がなぜこの過程を辿る必然性があったのか。これぞまさに構成の妙というやつですね。

幽霊さんの身の上話、私含むおじさん世代へやけに刺さるものであることは置いておきまして……みなさまもぜひすとんと腑に落ちていただきたく思います。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

高校生男子がそこはかとなくどころか思いっきり綴るつれづれない毎日!

  • ★★★ Excellent!!!

現役理系高校生男子が、ただただ毎日の出来事や思ったことを書き綴る日記!

受験生的には修羅場まっただ中な8月6日から始まるこの記録、別に大事件が起きるわけではありません。本当に著者さんの毎日が語られているだけのものなのですが……本当に毎日1話ずつ投稿されているのですよ。つまりネタを後出しで脚色したり演出を加えたりしていない、本当に著者さんのその日そのときの「リアル」が綴られているわけですね。言い換えるなら「生の声」となりましょう。

そしてそのリアルさ、この難しい年度に受験へ立ち向かわなければならないみなさんにとっては共感あるいは痛感できる「あるある」かとも思うのです。そして年代はちがえど同じように現状と戦っている方にとってもまた、著者さんの心情の揺らぎはやはり「あるある」でしょう。

それでも生きている。そんな言葉が思い浮かんだりもするのですが、自分は独りぼっちだなぁと思ってしまったときなどにぜひご一読いただきたい、“同志”の記録です。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)