姫は自分を殺した国へ再び嫁ぐ! そして祖母は暗躍す!

フェルノア帝国の皇帝に望まれ、嫁入りすることとなったフルール国王女、クロエ・フルール。帝国とは釣り合いようのない小国の姫を正妃として娶る。破格の条件を提示されながら、クロエは正妃ではなく側室になると不可解な答を返すのだ。そう、二度と繰り返さないために――皇帝の妃となって断罪された、クロエ・フルールの悲劇を回避するために。

転生ならぬ逆行……すなわち人生やりなおしをテーマにしたお話です。そしてなにより、タイトルにも掲げられている“おばあさま”、ルナティアさんの関わりがひとつのカギになっているのがおもしろい!

ルナティアさんの暗躍とそれにとどまらない活躍が、やりなおしなだけだったはずのクロエさんの人生に「予想外」をもたらしていく。それが新たな展開とドラマを生み出し、クロエさんを彩る。唸りましたね、このおふたりの関係性の深さと、その基にあるキャラクター設計の細密さに。

表裏一体なキャラクター小説、ストレートにお勧めです。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)