わたしが死んだときの話をしよう

作者 笛希 真

ひとりの男が生きて死んだ話、それを語った理由は――

  • ★★★ Excellent!!!

唐突に現われた男は彼へ幽霊だと名乗った。そして、なぜいきなり話しかけたのかと問うた彼に対し、答えるのは後回しだと前置いた幽霊は、あらためて言うのだ。――わたしが死んだときの話をしよう。

男幽霊が淡々と自分の人生を語る。それだけのお話かと思いきや――実はその「なんでもなさ」のすべてがオチのためにあるのですよ!

オチを利かせる方法は多々ありますが、そのカタルシスを大別すれば驚愕の「そうだったのか!」と腑に落ちる「あー」になるかと思うのです。そしてこちらのお話は後者。この語りが結局どうなるんだろうかと思いつつオチへ辿り着いた瞬間、「あー」。そして読者は知るのです。このお話がなぜこの過程を辿る必然性があったのか。これぞまさに構成の妙というやつですね。

幽霊さんの身の上話、私含むおじさん世代へやけに刺さるものであることは置いておきまして……みなさまもぜひすとんと腑に落ちていただきたく思います。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

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