明けましておめでとうございます。皆様、三が日は如何お過ごしでしたか。さて「一年の計は元旦にあり」と申します。何事にも計画性が大事。そして何かを始めるには最高の時期です。そこで今回は「正月事始め」と題して、新しく何かを始めたり、挑戦したりする作品を集めてみました。誰かが頑張っている姿を見ると自分も負けてられないという思いが湧き上がります。皆様もカクヨムから新年の抱負を掲げてみませんか。それでは本年もよろしくお願いします。

ピックアップ

妹と幼馴染とグレブナー基底を満たす、お兄ちゃんが愛する解を求めよ

  • ★★★ Excellent!!!

数学オタクの男子大学生・本条圭介が、「グレブナー基底」に興味を持った女子高生の妹・環奈に数学を教えたことをきっかけに展開されていく数学の世界に引き込まれました。

「グレブナー基底」とは、とてつもなく簡単に言えば「連立方程式の解を求めるアルゴリズム」で、一般人には聞き覚えがないどころか、まず一生関わることがない用語ですが、これが実に興味深い。

「そもそも数とは何か?」から始まり、中学校で習う連立方程式がなんの役に立つのかという疑問に、「嘘つき問題」や「山崩し」など、誰もが子供の頃に一度は遊んだことがあるような論理パズルを持ち出して、連立方程式を利用してパズルを解いていく解説に目からウロコが落ちました。

可愛い妹や巨乳の幼馴染、さらには全国の数学科学生を統べる数連合会長まで登場して、妹を巡って命を賭けた数学バトルが勃発していくのですが、えーと、これなんの話でしたっけ?

と、とにかくグレブナー基底すごいぞ、えらいぞ! これは絶対流行るな!

興味を持って一歩踏み込めば、新しい世界に出会える。知的好奇心を揺さぶる感動と興奮を味わいました。

(正月事始め4選/文=愛咲優詩)

女子に誘われて演劇部に入部したら、青春ラブコメの幕開けでした

  • ★★★ Excellent!!!

家庭の事情で男子校から一転して女子率の高い元女子高の学校へ編入した男子高校生の主人公が、誘われて入部した演劇部で可愛い女の子たちと青春を謳歌する学園ライフにときめきました。

「ねえ、君! 演劇って興味ない!?」

隣の席のクラスメイト・赤根絵美の突然の勧誘から、それまで堅実に過ごしてきた主人公・相田誠の色づいていく日常がわくわくします。

訪れた演劇部は衝撃の連続で、スイッチが入ると猪突猛進の脚本家、マイペースに部員を振り回す実力派部長、エロゲ音楽を流しまくる音響担当など、変わり者ぞろいの先輩たちに囲まれ、誠を始め新入部員たちが驚きと戸惑いで目を白黒させる姿が愉快です。

発声練習や即興劇など、大人しいようで実は体育会系な演劇部のスパルタ特訓の洗礼を受けつつ、後輩とデートしたり、海辺で合宿したりと青春イベントを重ねて、女の子たちと関係を深めていくリア充ライフが羨ましい。

もちろん、練習も真剣にこなし、舞台をやりとげた達成感は他では味わえない。こんな青春おくりたかった!

(正月事始め4選/文=愛咲優詩)

夢を追い続ける者にサッカーの女神は微笑む

  • ★★★ Excellent!!!

ヨーロッパの強豪クラブでエースストライカーとして活躍しながら、膝の故障によって夢を絶たれた元天才サッカー選手が、弱小チームの監督としてフィールドに戻り、新たな夢を築いていく光景に胸が高鳴りました。

主人公・月見健吾が新監督として就任したイシュタルFCは、コーチ不足、スタッフ不足、おまけに選手は全員二十歳以下の若手(美少女)だけという問題だらけの女子サッカークラブで、年頃の女の子の扱いに頭を悩ませる監督の苦悩がおかしい。

一方的なチーム改革でチームメイト全員から信頼を失ってしまう健吾ですが、栄光の絶頂からの転落を味わった彼だからこそ、些細な言葉にも重みがあって、心に刺さる。

ときに優しく、ときに厳しく、選手ひとりひとりの悩みや苦しみと向き合っていく健吾の指導に、選手たちの意識も徐々に変化していき、ついには才能の蕾を開花させてフィールドを縦横無尽に駆ける少女たちの可憐な勇姿に魅せられました。

倒れても何度でも立ち上がりボールを追い続ける美少女選手たちに諦めない勇気をもらいました。

(正月事始め4選/文=愛咲優詩)

レベルカンストのチート勇者教師、女神業界の人材不足を救う?

  • ★★★ Excellent!!!

これまで数百の異世界を救った勇者である主人公が、女神界を統べる女王神の依頼で駄女神の再教育に乗り出すというコミカルな世界観が笑わせてくれます。

潜在能力は高いが力を制御できない慢心女神サファイア、脱ぎたがりの変態女神ローズ、ふりかけしか出せない残念女神カレンと、見た目は絶世の美女、中身はポンコツなヒロイン三人と共同生活をしながら、立派な女神を目指して様々な特訓に挑むドタバタ指導の毎日が楽しい。

エピソードが脈絡なくフリーダムで、女神が餃子作ったり、野球したりと、それだけでも十分にシュールで面白いのですが、教師役の主人公のチートっぷりが毎度際立っていて、戦闘力はもちろん、錬金術で万物を創造し、楽器演奏でも、料理でも、ゲームでも、なんでもこなす万能超人っぷりがすげぇ! あなたが神か!

初めは仕方なく依頼を引き受けた主人公も、駄女神たちと過ごすうちに段々と熱が入ってきて、いつの間にか立派な先生になっている姿が微笑ましい。

どんな事でもやり甲斐を見つけられるか、何事も本人の気持ち次第だということを教えてくれます。

(正月事始め4選/文=愛咲優詩)