心震わす今がある。 今しか書けない物語も、きっとある。
1,304 作品
『君は月夜に光り輝く』で第23回電撃小説大賞《大賞》を受賞し、デビュー。同作は2019年に映画化される。
主な著作は『この世界にiをこめて』、『アオハル・ポイント』、『さよなら世界の終わり』。
最終選考に残った作品は、技術的に優れた作品、個性的で尖った作品、独自の視点から書かれた作品など、何かしら優れたところがある作品ばかりで、僕自身一読者として刺激を受けながら読ませて頂きました。
作品を選ぶ過程でも学びが多くあり、得難い経験をさせて頂き感謝しています。
個人的には、自分でもよくわからない困難なテーマに書くことを通じて挑むような作品が好きです。その悩みが行き着く先に興味があります。今回、そうした小説としての健全さを持った作品を幾つか推させて頂きました。
選考中は、書くことと読むことの楽しさを再認識した日々でした。受賞された方、惜しくも選に漏れた方、来年初めて投稿される方……皆さんが次にどんな作品を書かれるのか、いつか読ませて頂ける日が来るのを今から楽しみにしています。
人間ドラマ、ラブストーリーから、手紙、SF、異世界ファンタジーまで、応募作は実に多彩。今の高校生の文学世界はこんなに多様で柔軟なのかと目を瞠らされました。どの作品も、文章を書くのが好きで、何かを伝えたい、読む人を楽しませたい、という思いがあふれていて、大いに刺激を受けました。受験やらバイトやら大変なことはたくさんあるけれど、みんな、書き続けてほしいと思います。そして数年後、もしかしたら十数年後、プロの作家として歩き始めたなら、こんなにうれしいことはありません。
文学作品の審査員という、普段経験させていただくことの少ない貴重な機会をいただきありがとうございました。
どの作品もいま、高校生の貴重な瞬間を表現しており、情景が浮かび、躍動感のあるものばかりでした。
今回の「ポカリスエット賞」では、「学校生活×汗」をテーマに募集させていただきましたが、「学校生活における汗」の捉え方はスポーツをイメージされる事が多い中、スポーツだけに留まらず、本当に様々な「汗」を想像、表現し、物語に織り込んで頂きました。
ポカリスエットは汗をかき、挑戦する人のそばに寄り沿うブランドです。今回のテーマに沿った物語を創り上げる「挑戦」をして下さった応募者の皆様に感謝いたします。
今回参加させていただいたご縁にお礼を申し上げます。ありがとうございました。
今年の応募作もすごかった!というのが率直な感想です。高校生の創作力の無限の可能性に圧倒されました。特に作品全体の完成度は毎年レベルが上がっています。それはショートストーリー部門のオチまでの隙のなさや、ロングストーリー部門の読ませる構成と文章力に如実に現れています。
受賞者、そして参加者のみなさんが、今後も創作活動を続けること、物語力、オリジナリティを加えてさらなる限界突破をすることを祈っています。また皆さんの作品を読めることを楽しみにしています。
あなたは、手紙を書いたことがあるだろうか。電車にでも乗れば、視界の一面がスマートフォンで埋め尽くされる現代。直筆で想いを伝えることは、物珍しくなってしまった。しかしそれは、大事なことを伝えたいとき、相手の頭に強く残る故、最大の切り札となりえる。
平明な文章で、一気に読みました。「永遠に生きられる魔法」が実は「永遠に死ねない呪い」だったと分かる展開の鮮やかさ。終わり方もさらりとしていて、思わず、「上手い」と膝を打ちました。
佐藤 浅伸(読売新聞東京本社 活字文化推進会議事務局 専門委員)
目が覚めるような、鮮烈な青__それはまるで、夏の日の大空のような。
高校一年生の彩は、先輩である香月の絵に惹かれ、美術部に入部した。
人の顔色を窺ってばかりだった彼女は、自分を変えようと決心するが……
汗の捉え方は作者それぞれである事を認識した上で、この作品には身体的に活動をしてかいた「汗の表現」は無いが、キャンバスに向かい「挑戦する」汗を描き切っており、学校生活×汗を見事に表現して頂きました。
原 康太郎(大塚製薬株式会社 ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャー)
文房具の試し書きコーナーで顔も名前も知らない相手と交流を深めていくというストーリーを、実際に起こりうるかもしれないという現実感をもって描いた作品です。登場人物がかわいらしく、ほっこりとした読後感でした。
事故にあった夫の臓器がすべて機械に置き換えられたとき、夫人のとった驚くべき行動とは――「テセウスの船」に想を得た寓話的な作品です。人を人たらしめるもの、生きるとは一体何なのか。常識と狂気をひらりと反転させ、読者に本質的な問いを投げかけてくる作品でした。
主人公が小さな悪意から意図して起こした行動にもかかわらず、それが招いた結果に主人公自身が動揺してしまうという高校生らしさを感じるストーリーを精緻な文章で丁寧に描いています。主人公の心の揺らぎや切実さがまっすぐに伝わってきました。
若々しく、かつ、リズムのよい明るい文章で、学生の恋愛を描き出しています。はつらつとした雰囲気で、少女漫画のような世界観を想起させられます。ぜひ物語の続きを読んでみたいと思わされる作品でした。
一見すると退廃的で不気味なアイテムを使用しながら、孤独な人物の心理的成長を描き出しており、独特の雰囲気とメッセージ性をもった映画作品のような魅力を感じました。1,162文字という少ない文字数の中でも世界観をしっかりと構築する作者の力量に目を見張りました。
※掲載の並びはペンネーム五十音順となっております
高校生のみなさま、多数のご応募ありがとうございました。
「【高校生限定】「カクヨム甲子園2022」【ショートストーリー部門】」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
選 評
短編小説として非常に完成度の高い作品でした。手紙という古くから定番のアイテムをマッチングアプリという現代の事象に絡ませたところにオリジナリティがあり、また、手紙の差出人の正体が徐々に明らかになっていく過程を捻りのきいた構成で描いた点を評価しました。