心震わす今がある。 今しか書けない物語も、きっとある。
723 作品
『君は月夜に光り輝く』で第23回電撃小説大賞《大賞》を受賞し、デビュー。同作は2019年に映画化される。
主な著作は『この世界にiをこめて』、『アオハル・ポイント』、『さよなら世界の終わり』。
最終選考に残った作品は、技術的に優れた作品、個性的で尖った作品、独自の視点から書かれた作品など、何かしら優れたところがある作品ばかりで、僕自身一読者として刺激を受けながら読ませて頂きました。
作品を選ぶ過程でも学びが多くあり、得難い経験をさせて頂き感謝しています。
個人的には、自分でもよくわからない困難なテーマに書くことを通じて挑むような作品が好きです。その悩みが行き着く先に興味があります。今回、そうした小説としての健全さを持った作品を幾つか推させて頂きました。
選考中は、書くことと読むことの楽しさを再認識した日々でした。受賞された方、惜しくも選に漏れた方、来年初めて投稿される方……皆さんが次にどんな作品を書かれるのか、いつか読ませて頂ける日が来るのを今から楽しみにしています。
人間ドラマ、ラブストーリーから、手紙、SF、異世界ファンタジーまで、応募作は実に多彩。今の高校生の文学世界はこんなに多様で柔軟なのかと目を瞠らされました。どの作品も、文章を書くのが好きで、何かを伝えたい、読む人を楽しませたい、という思いがあふれていて、大いに刺激を受けました。受験やらバイトやら大変なことはたくさんあるけれど、みんな、書き続けてほしいと思います。そして数年後、もしかしたら十数年後、プロの作家として歩き始めたなら、こんなにうれしいことはありません。
文学作品の審査員という、普段経験させていただくことの少ない貴重な機会をいただきありがとうございました。
どの作品もいま、高校生の貴重な瞬間を表現しており、情景が浮かび、躍動感のあるものばかりでした。
今回の「ポカリスエット賞」では、「学校生活×汗」をテーマに募集させていただきましたが、「学校生活における汗」の捉え方はスポーツをイメージされる事が多い中、スポーツだけに留まらず、本当に様々な「汗」を想像、表現し、物語に織り込んで頂きました。
ポカリスエットは汗をかき、挑戦する人のそばに寄り沿うブランドです。今回のテーマに沿った物語を創り上げる「挑戦」をして下さった応募者の皆様に感謝いたします。
今回参加させていただいたご縁にお礼を申し上げます。ありがとうございました。
今年の応募作もすごかった!というのが率直な感想です。高校生の創作力の無限の可能性に圧倒されました。特に作品全体の完成度は毎年レベルが上がっています。それはショートストーリー部門のオチまでの隙のなさや、ロングストーリー部門の読ませる構成と文章力に如実に現れています。
受賞者、そして参加者のみなさんが、今後も創作活動を続けること、物語力、オリジナリティを加えてさらなる限界突破をすることを祈っています。また皆さんの作品を読めることを楽しみにしています。
中学生の息子を仲立ちに、別れた夫と週末に顔を合わせるシングルマザーの物語。高校生が書いたことに驚きました。詩的とも言えるリズミカルな散文には熱があって心地よく、並々ならぬ才気を感じます。
佐藤 浅伸(読売新聞東京本社 活字文化推進会議事務局 専門委員)
貴重な中学、高校時代を未知のウイルス発生の中、懸命に挑戦する主人公の姿に引き込まれました。描かれるライバルとの関係も繊細に描かれており、タイム競技特有の「記録」と「勝負」の部分も見ごたえを感じました。
原 康太郎(大塚製薬株式会社 ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャー)
暗い結末となってしまうことの多い精神的な不調や思春期ならではの悩みを題材にしながら、物語を前向きに着地させた稀有な作品です。印象的なフレーズを織り交ぜながら高校生特有の心情が実感をもって描かれており、その表現力に感嘆しました。
作家性と才能を感じる、クオリティの非常に高い作品です。拳銃を見つけた幼馴染に呼び出されて再会するというユニークな冒頭はもちろん、その拳銃を巡って変化していく主人公と幼馴染の関係性の描き方に最後まで惹き込まれました。
認知症の女性など高校生の作者の年代からは離れた登場人物の物語をこれほどのリアリティをもって描き切ったということに驚かされました。エピソード間で登場人物同士の関係性を繋げるという試みに挑戦したことも評価しました。
それぞれの視点をぶらすことなく、性格の異なる3人の少女の個性を描き分け、爽やかな雰囲気でまとめています。日常と地続きの事柄として女性同士の恋愛を取り扱いつつも、障壁となる点についてはシリアスに書き込んだ点も評価しました。
小説を構成するすべての要素のレベルが高くまとまっており、小説として非常によく完成された作品です。アンドロイドのオークションが行われるSFの世界を違和感なく成立させている点に作者の高い技術力を感じました。
突如あらわれた「カミサマ」との交流や亡くなった姉との再会を通して姉の死を乗り越えていく主人公の姿を生き生きと表現し、ストレートな青春小説として見事にまとめあげています。読者の心を救う力のある作品であると感じました。
※掲載の並びはペンネーム五十音順となっております
高校生のみなさま、多数のご応募ありがとうございました。
「【高校生限定】「カクヨム甲子園2022」【ロングストーリー部門】」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
選 評
ストーリーのわかりやすさ、表現力の豊かさ、切実さの伝わる書きぶりなど、読者を魅了する要素の非常に多い作品でした。独特の雰囲気を一貫して保ちながら、登場人物二人の恋愛模様を抒情的に描いた読み味のよさに高評価が集まりました。