俺カルチャー

　三浦彰（満三十歳）小説家志望は、私小説『俺カルチャー』で受賞し、書籍化の夢を果たす。彰の私小説が出版されたのと同時に、ある文芸誌に同じく私小説を掲載し始めた女流作家がいた。

　彼女の名は本間海。

　彼女は三浦彰の大学の同期であり、同じ文芸サークルに所属していた。当時の彰は彼女に恋心を寄せていたと俺カルチャーで綴っており、彼女も文芸誌に掲載した私小説で当時は三浦彰に偏執的な依存を示すほど好きだったと告白する。

　二人の小説家は同日に公表された私小説の中で両想いが発覚したのだ。
　それを機に、二人は八年ぶりに再会して、当時の恋を、募らせるのだった。