概要
嘘でもいい。もう一度だけ、君の声を聞かせてほしかった。
絶望の淵にいた建築士の一真。彼を救ったのは、北の大地の霊場で耳にした、亡き妻、美月の呼び声だった。宿命に導かれるように、生まれることのなかった娘に「のぞみ」という名を与えたとき、彼の止まっていた時間は再び動き出す――これは、喪失の果てに、愛の記憶とともに「希望の設計図」を描き直すまでの、再生の物語。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!喪失の闇の中で、名前が小さな希望の光になる再生の物語
最愛の妻と、名前をつけることのなかった我が子を失った建築士・一真。
彼が北の霊場で出会った盲目のイタコを通して語られる、亡き妻の言葉がとても優しくて胸に響きます。
「名前という光を抱いて、黄泉の世界を迷わず歩いていける」という一節は、言葉が持つ力や、遺された人ができる祈りの形を感じさせてくれて、とても印象的でした。
厳しく美しい自然の描写と、カーテンの揺れや料理の音といった日常のやわらかな場面の対比も見事で、読み終えたあとにはどこか心が軽くなるような、静かな余韻が残ります。
大切なものを失ったあと、もう一度前を向こうとする人の物語で、優しく心に沁みる作品なので、ぜひ読んでみてほしい一作…続きを読む