冷え切って、草臥れて、打ちひしがれた「私」の目の前に、ひとつの奇跡が現れる。自身よりも冷え切ったそれに、「私」は惜しみなく温もりを与えようとする。与えることは、与えられること。それが温もりを要していたのか、それとも真に温もりを要していたのは「私」だったのか。この奇跡を傍から見る我々のなかにもきっと「私」あるいはそれが凍えているのかも知れない。
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