枯れ葉や枝でできた衣をまとう蓑虫。そんな蓑虫を、清少納言は『枕草子』で「鬼が生んだ子」と見立てています。親に捨てられたことに気づかない蓑虫の子が鳴く様はいみじうあはれなり。そのエピソードを踏まえて、捨てられた鬼に手を差し伸べる一人の女の在りし日の記憶を持ってくるところも、心に沁みわたる粋なはからいと言えるでしょう。
葉と葉が重なるように、私の命がまたあなたに重なりますよう。また会えますよう。
鬼の子との再会を祈ってから時は流れ、大正の世。
鬼を退治した英雄・源頼光の血を受け継ぐ本家に、分家の娘である結葉が住むことになりました。一族のための結婚が決まっている結葉は、顔も素性も知らない相手との嫁入りの日を待つばかり。そんなときに出会ったのが、軍服の男性・紅炎でした。
からかっているのだと思ってしまうほど、結葉に向けられる紅炎からの言葉は甘くて熱く。親に恵まれているとは言えない生活を強いられてきた結葉にとって、大きな存在になっていくのです。
結葉のことを好いてくれる殿方は紅炎のほかに、顔見知りの好青年・志貴もいて、紅炎とは違ったアプローチの仕方にどきどきさせられました。
結葉のことを何かと気にかけてくれる本家の一人娘・綾女の動向も見逃せない、和風ファンタジーです!
主人公の結葉は、一族の繁栄のために『鬼』の花嫁になる事を強いられます。
それは代々続いて来た鬼と一族との因縁で。
それを断ち切る存在、『鬼』を倒そうとする宮間様と結葉は出会います。そして結葉と宮間様は想い合います。
このお話、ただ鬼を倒して溺愛ルンルンってわけじゃありません。
その過程こそ、味があり深みがあり素晴らしいものなのです。
人は心に『鬼』を飼う事があります。この作品の中にも、心に鬼を飼ってしまう者が現れます。
それは嫉妬からか、恋慕からなのか……。
本当に怖いのは、力を持った『鬼』なのでしょうか? それとも心に鬼を飼ってしまう『人』なのでしょうか?
私は『人』こそ怖いと思って本作を読んでいます。そして、どうか宮間様、結葉ちゃんをお救い下さいと願わずにはいられないのです。
このレビューを書いている段階では、まだまだ鬼との戦いは序盤です。
この先どうなって行くのか、宮間様は鬼に勝てるのか。結葉と宮間様は幸せになれるのか。
毎回ドキドキとしながら読んでいます。
そして鬼を心に飼っている『あの人』が救われる事はあるのだろうか……。
読み始めたら目が離せなくなります。まだ追いかけるのに間に合います。是非とも鬼VS真実の愛の戦いをお見逃しなく!
鬼退治の英雄・源頼光の末裔でありながら、一族のため「鬼の花嫁」として捧げられる運命の少女・結葉。
その前に現れる、圧倒的な存在感の男・宮間紅炎——導入から一気に掴まれました。
大正のモダンな空気を纏いつつ、根底に流れるのは平安から続く血塗られた因縁と執念。
設定がシリアスで重厚だからこそ、物語に逃げ場のない緊張感があって、ページをめくる手が止まりません。
それなのに、紅炎が口を開いた瞬間に空気がひっくり返るのがたまらないです。
「奪いに行きます」と言い切る激重な溺愛が強引で不器用で、ドキドキさせられっぱなし。
光造との軽妙なやり取りにも救われて、この闇と光の配合が大好きです。
綾女の嫉妬や志貴の誠実さも含めて、脇役まで人間臭く、ただの溺愛ものに収まらない多層的なドラマが描かれています。
「葉と葉が重なる」という言葉に込められた千年の祈り——その真実が明かされる瞬間を楽しみにしています!
鬼と人が織りなす千年の恋路に、きっとあなたも心を奪われるはずです。
この作品をひと言であらわすなら、甘さと切なさを高次元で両立させた和風恋愛ファンタジー作品と言えるでしょう。
主人公の結葉は平安時代に鬼退治をした源頼光の子孫です。霊力をもつ彼女は、一族のために鬼の花嫁として差し出されることが決定されました。
花嫁とは聞こえがいいですが、実際は……。ここからは、ネタバレになりますので、そこは本編を読まれて驚いてください。
さて、結葉は周囲の男性から熱愛されています。
作品の登場人物である綾女に言わせれば、特段の魅力もない女らしいのですが、彼女を情熱的に愛する男たちは、ひとりだけではありません。
その中でもとくに、宮間紅炎は彼女への愛情を惜しみません。それには一千年の過去があるのです。
さて、「蓑虫の恋」というタイトルも秀逸です。
ここに込められた作者の作品への思いを考えるとき、平安時代の雅を思い浮かべてしまいます。
『枕草子』「虫は」の一節では、「蓑虫は鬼が生んだから鬼に似る」と書かれています。作品は清少納言のこの一節をモチーフにしているようにも思えます。
繊細な描写で描かれた物語は、単なる「溺愛もの」ではない読み応えがあります。
どうぞ、お読みくださいませ。
主人公・結葉は、知らずに鬼に嫁がされる哀れな娘。
しかし、内務省特殊部隊(あやかし退治などをしている部隊)所属・宮間紅炎という麗しい男が、そんな嫁入り前の結葉に「奪いに行きます」と大胆発言をします。
この男、結葉に序盤から猛アタック! もう最初から糖度100! ひょえええ~~~///と思いながら読み進めているうちにどんどん糖度が高まっていきます。悶え叫びながら読むこと間違いなし。めっちゃ甘々です。既にめちゃくちゃ甘いのにこれからどうなっちまうんだ……(嬉しい悲鳴)。思わず「宮間様」と心の中で様付けで呼んでしまう肉食ぶりです。
さらに面白いのが、この作品はどうやら「四角関係」を描く作品のようです。
もう一人、結葉と親しくしている綾女という登場人物がいます。女王のような貫禄があり、かっこいい女性で、個人的にはとても好きなキャラです。しかし彼女は、結葉が宮間に好かれていることを知り、嫉妬をし始めて……。
単純な一対一の恋愛ものではなく、人間関係がここから拗れていきそうで、本当にワクワクします。
和な雰囲気の中、ファンタジー設定や世界観もしっかりしており、ひと味違う和風ロマンスであると感じております。
物語がどうオープニングと繋がっていくのか、まだ謎な部分も数多く、続きが気になります。
男に捨てられた女と父に捨てられた鬼の子。
めぐりあった二人は一緒に暮らし、心を通わせます。
しかし女は鬼の子を捉えに来た鬼に殺され――
鬼の子は女の胸の上に真っ赤なイロハモミジを二枚、並べて置きます。
「葉が重なるときを、待っている」
そして時は巡り、女の生まれ変わりの「結葉」と、かつての鬼の子の気配が漂う謎多き男「紅炎」が邂逅。
結葉は前世の記憶を持ちませんが、紅炎は彼女へと果敢に迫ります。
クールなイケメンの紅炎ですが、彼が口にする愛の言葉は超甘々!
彼に口説かれて喜ばない女性はきっといないはず……!
嫁ぎ先が決められ残酷な運命を背負っている結葉を、紅炎は救い出すことができるのか。
そして時を超えた想いは実るのか……。
ふたりの行く末から目が離せません!!
『蓑虫の恋〜囚われの花嫁は鬼に愛される〜』は、和風ファンタジーの美意識と“激重感情”の推進力が同居した、切なくも濃密な純愛譚です👹🌸
鬼と人、守ることと縛ること――その曖昧な境目で揺れるヒロインの選択が、甘美さと残酷さを同時に呼び込み、読者の感情を強く掴みます📚⛩️
本作の魅力は、愛の形を“綺麗に整えない”誠実さです。囚われは救いにも呪いにもなりうる、という張力のなかで、鬼の「愛」が持つ保護と独占の二面性が鮮やかに立ち上がります🩸💞
また、文章は情景と心理を絡めとる密度が高く、古典への目配りや引用が作品の格を一段押し上げています📖🪶
一方で、重い感情が続く章の中に儚いユーモアや季節の色を差し込む呼吸も巧みで、緊張を途切れさせず、しかし読者を疲れさせません🎐🔥
和風ファンタジーの美と“激重感情”が交錯する、鬼と娘の純愛劇――痛みも甘さも余さず味わえる一作です👹🌸