空に放たれた風船の立場になって、原点というものについて、思索して試作した詩のようです。序盤はノスタルジックな空気感で、次第に思いは濃く強く抒情性を伴って、最後に作者の真の思いが吐露されるのですが、この序破急の構成美に瞠目させられるのです。「はじめにいのちをいただいたからいのちの行き場が見えなくなった」このキラーフレーズには心を撃ち抜かれました。晩秋の気配を纏った、繊細な抒情性の薫り立つ秀抜な詩と言えるでしょう。
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