概要
暴力の果てに、希望はまだ残っているか。
巨大産業文明が滅んで十万年後。
新大陸と呼ばれる土地で、天使隊士官候補生レインは初任務を与えられる。名目は先住民「人間」の“移動”。だが、ジェム川河口の湿地に到着した彼が見たのは、五十人を縄で繋ぎ、銃撃と白燐で焼き払う虐殺だった。
動けず、引き金も引けず、職務を放棄したレインは蹴り倒され、燃える集落の前に置き去りにされる。
そのレインの前に現れたのが、竜人の整備士の娘カイネだった。命令を拒んだ天使に興味を抱いたカイネは、レインを自宅へ誘う。罪悪感と恐怖で壊れかけた心身は、茶の香り、暖炉の熱、静かな日課に支えられ、六日かけて少しずつ息を取り戻していく。
やがて二人は生き延びるため、旧文明遺跡へ潜り、硝石とリン鉱石を回収する危険な仕事に就く。冬。人間の少年が竜の幼生を抱いて現れ、三人は“救
新大陸と呼ばれる土地で、天使隊士官候補生レインは初任務を与えられる。名目は先住民「人間」の“移動”。だが、ジェム川河口の湿地に到着した彼が見たのは、五十人を縄で繋ぎ、銃撃と白燐で焼き払う虐殺だった。
動けず、引き金も引けず、職務を放棄したレインは蹴り倒され、燃える集落の前に置き去りにされる。
そのレインの前に現れたのが、竜人の整備士の娘カイネだった。命令を拒んだ天使に興味を抱いたカイネは、レインを自宅へ誘う。罪悪感と恐怖で壊れかけた心身は、茶の香り、暖炉の熱、静かな日課に支えられ、六日かけて少しずつ息を取り戻していく。
やがて二人は生き延びるため、旧文明遺跡へ潜り、硝石とリン鉱石を回収する危険な仕事に就く。冬。人間の少年が竜の幼生を抱いて現れ、三人は“救
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!宗教に対する考察が物語に深みを与えています
どの世界にも存在する「宗教」
どの宗教にも「神」が存在し、人々の心の拠りどころとなっています。
本作は主人公が「宗教」に疑問を持つことから始まります。
そして章ごとに主人公を変えながら、物語は進んでいくのです。
新たな主人公はそれまでの主人公から影響を受け、次の主人公へ橋渡しをしていく。
そうして神学は深まり、物事は良い方向へと進められていた「はず」でした。
人の生死と神学との関係や、主人公の決断など、読みどころが随所に見られます。
よくできた論文を読むが如くです。
小説で宗教や神について書くのは、日本では難しいのですが、己の知識を惜しみなく投入して、一片の長編…続きを読む