概要
そのうえ、兵庫にいる新田義貞と合流して、かの地にて尊氏を討てとの綸旨が下る。
兵は少なく、士気もない――それでも戦え、との綸旨が。
「実はの、このいくさ、まだ勝てる──まだ、手はあるんや」
南北朝時代、最高の名将と言われる男の、最後の戦いが幕を開ける。
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- ★★★ Excellent!!!50万対5万(※八王子市対福生市に相当)の決戦!
カクコン11(短編)「お題フェス」も早や五回目。本作の作者である四谷軒氏は、これまでのお題に全て参加され、第二回「卵」以降は南北朝、特に建武の新政後の、楠木正成と足利尊氏の戦いを題材にした短編を書かれておられます。
事実上の連作形式となっている本シリーズ、前回の題材が「桜井の別れ」となれば、今回の舞台は必然的に「湊川の戦い」。名将・楠木正成の、最後の戦いです。
圧倒的な戦力差にもかかわらず、正成は起死回生の策があると決戦に挑みます。対する尊氏も、兵力差に頼ることなく、必勝を期して戦いに臨む。傑出した二将(とその他一将)による、虚々実々の駆け引きが繰り広げられます。
そして、この戦…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「かたちなきもの」の向こうに正成は何を具現させたかったのか?
湊川合戦の楠木正成といえば、「正統」の天皇を主君とし、その主君とおのれの信じる「正しさ」のために戦って散った悲運の名将として、悲憤慷慨調に語られがちだし、実際にそう語られてきた。
しかし、鎌倉幕府との戦いで少数をもって多数を翻弄し続けた「知将」のイメージと、成算なき戦いに突入して散るという「精神主義」のイメージは、何かズレてないか?
反旗を翻して関東から京都に突入した足利尊氏の軍を西へと敗走させた後、正成が尊氏と講和すべきと主張したことは史料にある。足利尊氏の人柄、名声、そして「足利一族の長」というステイタスの持つ大きい力を見極める能力を正成は持っていた。
それなのに、なぜ?
精神主義…続きを読む - ★★★ Excellent!!!楠正成最後の戦い、湊川合戦の記録
歴史小説の名手、そして楠木正成大好きの四谷軒さんの短編です。
おー、ブラボー。パチパチパチ!
とてもよかったです。楠正成、足利尊氏、新田義貞の3人を中心に、正成最後の戦いの湊川合戦を見事に描写されました。尊氏の軍略の見事さ、それを見抜いた正成の智謀が、読んでいてリアルに伝わってきました。また、正成と義貞との交流や、正成と尊氏がお互いに認め合っている様子など、ヒューマンドラマとしても完成度がたかく、思わず引き込まれました。
正成は忠義を貫いた結果湊川に散りました。惜しい人物でしたが、それもまた歴史の一コマというものなのでしょう。
歴史小説がお好きな方には、この作品はお勧めです。