概要
長い夜、ポーリャははるか遠くの生まれ故郷の話をして聞かせる。それは取り戻せない楽園の思い出だった。
一話3000字前後。1日1話ずつ更新予定。
※戦いのシーンがあるので、「暴力描写あり」としました。R指定するほどではないと考えていますが、苦手な方はご注意くださいませ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!現世と神話の分水嶺をゆく旅人
とにかく面白い作品です。
史実と思わせるような重厚な歴史の描写とそこに暮らす人々の姿、対照的に人智を超越した存在の孤高にして人間的な姿。この二つの世界が巧みに混ざりあって独特のストーリーが展開されます。
作者様のもう一つの傑作『けして泣いてはならぬ』もそうでしたが、おとぎ話とは違う歴史の現実世界・生活を描写しながら、神にも似た存在がリアリティたっぷりに描かれます。まさにこの作者様にしか書けないだろう傑作だとおもいます。この想像力、巧みな文章力で積み上げられた世界に驚嘆することでしょう。
今回の作品では構成がまた絶妙でした。遊牧民族で医師として暮らしている『ポーリャ』、彼女が治療中に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!草原から砂漠、そして世界の都へ。ある決意を秘めた彼女と共に旅をする。
まずは章タイトルをご覧になり、少しでも心惹かれた方はぜひ本文を開かれることを強くお勧めいたします。
各章で移ろう舞台ごとに、そこに息づく文化を体感しつつ、一方で物語が導く幻想的な世界をも堪能できることでしょう。
第一章は主人公ポーリャが医師として身を寄せる草原での遊牧民族の暮らしと、彼女が語るはるか北の都での温かく幸福な思い出が交互に語られます。並行して進む物語は互いにまったくの別世界のようですが、ある日草原でポーリャの過去に繋がる出来事が起き、そこで彼女の生きる目的と、彼女の秘密の一端が明らかになります。ポーリャは、かつて北の都で孤児であった自分を拾ってくれた家族、なかでも「カフカ」とい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!遠い楽園の語りに想いを馳せて
狼の遠吠えの、生薬の香りの、生きている人々の息遣いが聞こえてくるような文章にあっという間に引き込まれてしまいました。
第一章はポーリャという一人の女性の口から語られる過去と共にナランツェツェという少女の日々が交互に紡がれるのです。
この物語は夢の中にあるようで、その時代を生きた人達の生活と思いが綴られています。
静かで静謐で、どこか生々しい呼吸の音すら聞こえてきそうな文章と共に。
ポーリャという女性の語る過去にナランツェツェと同じく引き込まれていくような感覚があるのです。
深く深く引き込まれたかと思えばナランツェツェの生きる世界に日常に引き戻される。交互に紡がれる物語は現実と物語の中の境界…続きを読む - ★★★ Excellent!!!悠久の楽園を胸に、遥かな大地を越えて
ひと言でいうと傑作です。美しい装丁で一冊の本になって欲しい。
東と西の文化が相まみえる広大な大陸を舞台に、たったひとつの思いを胸に旅をするヒロイン、ポーリャの魅力。そして壮大な物語を彩る描写と表現の深さ。作品を形づくるすべてに唸らされます。
第一章はまさに千夜一夜を思わせるおとぎ話のような楽園の回想と、草原の民の明日をも知れない命との隣り合わせの日々が綴られます。過去と現在を浮遊するような筆致で、ふたつの世界に同時に連れ込まれます。
そして第二章のスペクタクル逃亡劇。幼い主人を愚直なまでに守り通す男の忠義と少年の聡明さが光る冒険譚では、太刀を振るうような豪快さと権謀術数の生臭い人間ドラマが、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!土地を渡り、多くの人と出会い、長い時を経てもなお、強く焦がれる人がいる
かつて『楽園』で暮らしていたポーリャという一人の女性の、長い長い旅の物語です。
騎馬民族の娘ナランツェツェが、夜毎ポーリャから故郷の話を聞かせてもらう第1章。
ナランツェツェの三人称視点とポーリャの一人称視点とを境目なく行き来する語り口がおそろしく心地よく、遊牧民の暮らしと遠い『楽園』の暮らし、まったく違う二つの文化を軽やかに飛び越える感覚を体験しました。
第2章では、皇帝の子・阿怜と彼を連れ出した凄腕の護衛・鉄戈が、ポーリャの旅の道連れとなります。
阿怜を狙ってくる刺客を躱しつつ、それぞれの目的で進んでいく三人。この三人組での道中が、本当に面白いのです。幼いながらも非常に聡い阿怜に、不…続きを読む - ★★★ Excellent!!!草原に語り落とされた、はるか遠くの楽園のはなし
本日完結予定の本作ですが、先立って第一章を読み終えた時点でのレビューを記します。長編をお手に取る際の参考になれば幸いです。
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草原の遥か向こうに陽が落ちた後のゲルの中、幾重もの夜長に語られる遠い場所のお話。
その瑞々しい記憶の中のポーリャは、遊牧の民のナランツェツェと同じくおてんばに感じられ、とても親近感が湧きます。同時に、今は大人になったのだなとも。
そして草原での暮らしにとって馬は欠かせない存在。
族長の娘であるナランツェツェは誰よりも上手に馬を乗りこなします。
(個人的には丙午の今年にかけて、馬が登場するお話というのも何だか嬉しかった)
遠くも近くもない場所に野生動物が…続きを読む