かつて、人々は生と死のあわいを生きていた。

数十年前、久高島へフィールドワークに出かけたことがあります。沖縄の民俗学をかじった身としては、この物語には脱帽です。
膨大な資料を読み込み、なおかつご自身の死生観を物語に織り込まれています。
夢かうつつかわからぬまま、たゆたうようにお話は進んでいく。
久高島の神人のおばあたちを思い出しました。おばあたちは夢の話をしていました。神は夢に現れ、するべきことを教えてくれると。夢の中でニライカナイとつながっているという事でしょうね。
ニライを通し、死者を身近に感じることで生をより強く実感できたのかもしれません。いまのこのご時世、死と生は完全に隔絶させられています。だから生というものが希薄になっている。
この物語から、生きる事の力強さをひしひしと感じました。

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