ネット文芸の裾野の広さを感じさせる一作

 私がカクヨムを見始めたのは、某なろうで見かけた
この作家さんが、こちらに多く作品を置いていたからです。

 ラノベ的な読みやすさは無いかもしれませんが、
丁寧なルビなど心配りが効いていて、印象よりずっと読みやすい作品です。

 序文を読んで「あっ、なんだか難しそう。神話や民俗学なんてわからないよ」
という方にこそ、気軽に読み進めていただいて、優れた物語性にリードされながら、
知的好奇心をくすぐられる自分を発見していただきたい。

 学問とか、歴史とか、思想とか、そういう価値観を押し付けるような物語ではなく、
ふと、自分以外の人々は逃れられない生と死に、どう寄り添ってきたか、と思い至った時、
そんな誰しも通る道、同じ道を歩む人の姿を覗き見るような作品なのです。

 とってつけたような詩的さではないのに、とても情緒的という描写には、筆力の高さを感じます。

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