説明は美しい

小説を書く際によく言われる「説明ではなく描写をしろ」という言葉がいかに無意味かを思い知らされる。なぜなら説明こそがこの小説のキモであり、もっとも気持ちのいい部分だからだ。

別物だと思っていたことが無関係じゃなかったこと。全く関係がないと思っていた事象が繋がること。日本や沖縄や南方の神話が、実は根っこの部分で繋がっていて、それが本作のサブタイトルでもある「海上の道」という言葉に収束していく様を見るのは本当にアツい体験だった。

説明は無味乾燥でも無機質なものでもない。センス・オブ・ワンダーや感動に満ちたものであることを再認識させてくれる、そんな話だと思う。みんな読もう。

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余談ながら、本作は2016年の秋に同人で書籍化されています。ちょっとした宣伝ですが、自分が組版を担当したので興味のある方はぜひお買い求めください(通販ページもその内作りますので)。
http://dark-constexpr.github.io/libraries/niraikanai.html

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