平凡な高校生佐々佐助は予備校帰り、自宅で共に暮らす父親の惨殺体と愛犬の死に直面する。襲撃者である謎の甲殻菌類宇宙人に自身も脳味噌を摘出されて成す術もない状況の中、外なる神にして這い寄る混沌ニャルラトテップの化身・チクタクマンを名乗る存在の声に耳を傾けた佐助は、己の復讐に適う義体と鋼の機神・ケイオスハウルを手に入れる。チクタクマンとの契りに応じて降り立つは人類と神話生物の戦う海原の異世界・アズライトスフィア。自身を見舞った悲劇にも通底する大いなる陰謀の渦巻く中で、人型兵器エクサスを駆る仲間と共にクトゥルー邪神勢力との戦いに臨む佐助第二の人生が始まる。狂気と孤独と試練の果てに友情と神威と勝利を見出してゆく波乱万丈千変万化、劇場版まで作られたクトゥルフスーパーロボットバトルアクション巨編。
最近クトゥルフ神話に興味を持ち、作者さんのクトゥルフ講座からこちらの作品に触れたのですが、楽しかった…。
続きを読みたいという気持ちと、終わらせたくないという気持ちの板挟みにあい非常に苦労しました。
「良かった、佐助とナミハナおめでとう!」&「終わってしまった」という充足感と、喪失感の板挟みにもあいました。
この作品を読むことが出来ただけで、クトゥルフ神話に興味を持った意味があったと思います。
キャラクターの描写も細やかで、すんなりと自分の中の「佐助」、「チクタクマン」、「アトゥ」、「ナミハナ」、、、、キャラクター達の顔が浮かび上がります。
特に気に入っているチクタクマンは、しばらく勝手に頭の中で喋りかけてくると思います(笑)
素晴らしい作品をありがとうございました!
頑張ってください!
クトゥルフ。昨今人気が出てきたジャンルでして、私も名前を知る程度でした
ロボット。昔から人気があるジャンルでして、私も最近になってハマった感じでした
これが重なったそりゃ楽しめますよ!
クトゥルフの知識があまりなくても、簡易的な説明もありますので読みやすいですし、どこかで見知ったようなノリがありますので読みやすい印象を覚えました
佐助君の葛藤、ナミハナちゃんの一途さ、チクタクマンの人間臭さ……何よりアトゥちゃんが可愛いからね!
人物像の描き方も丁寧であり、物語内の抑揚もハッキリとしていました。裏設定を見ると中々エゲツないですが、それもまた良し
精神の摩耗を感じさせる描き方はこちらの心にも響きます
いやぁ、読んで良かった。そう思える素晴らしき作品でした。
クトゥルフ×スーパーロボットは……いいぞ!
クトゥルフ神話ものに疎くて、知識として持ってるのが某魔を断つクトゥルーロボット経由のものしかない。
そんな、いちロボ好きが読んでみたところ、『俺の好みのタイプだ……』という感想。
魅力に感じた点を列挙してレビューとします。
まず、主人公のパワーソースが邪神。ニャルラトホテップって見たら狂って死ぬ系ですよね。そんな奴らを受け入れて、徐々に絆を繋ぎさえする。
終盤、自身が狂気に侵されていく真綿で首を締められるような恐怖苦悩の描写が主人公をヒーローとして立てていったと思います。
テキストもノリが良くて肩の力を抜いて読めます。主人公を等身大の少年として見ていられました。
主役ロボットのケイオスハウルは強い。最初から強い。苦戦することもあるけれど、基本的に強い。しかも、だんだん強化されていく。
ホバークラフトに有線クローに隠し腕、なんてけっこう渋みのある基本形態から、あんな風やこんな風にヒロイックにもなる。ガンプラなどの模型で再現したくなりますね。
そして何より評価したいのは、ヒロインのナミハナちゃんが駆る機体の武装がドリルなことですね!
ただドリルなだけじゃなくって、作中の強敵とも渡り合えるドリルなんです!!ドリルをメインに使って強いロボってのは昨今ではなかなか見られないんですよ!?
そんなこんなで、邪神を相棒にSAN値削って活躍する邪神機譚、オススメです。
クトゥルフ神話だからと言って必ずしもホラーである必要がないのは、某ニャル子さんでさんざん学びましたが、本作もそれに比肩し得るエポックメイキングです。
メカ物。
クトゥルフでメカ物。
邪神の力を借りた「魔法使い」たちが機械を操って戦闘する…読むもの全てが斬新で、発想の豊かさに驚かされました。
時に遺跡探索、時に護衛任務をこなしつつ、アザトース復活をもくろむ「虚無教団」と熾烈な戦いの火蓋を切って落とします。特に序盤の山場であるクトゥグア戦は息を呑みました。
また、各話の副題に見られるように、有名作品の引用やパロディも満載で面白いです。主人公が漫画家志望の高校生だったこともあり、アニメや特撮の台詞をぽつりと呟いたり、なぞらえたりして、読者をクスリと笑わせるおもてなし。
毎回挿入される「前回までのケイオスハウル!」や「次回予告」も、平成ライダーを彷彿とさせる熱い語り口で好感触でした。
展開は王道バトル漫画のような手堅いストーリー。クトゥルフ神話と絡めて物語が進んでいくのが新鮮かつ話の密度をより濃くしています。使い古された正義の概念と少し距離を開けた部分や、主人公がアズライトスフィア人やチクタクマンの考え方に影響されつつ、自分に出来る限り人間らしく事を成そうとする泥臭い部分が僕的には好きです。間違いなくカクヨムで掲載されているロボット作品の中でも上位に位置する作品でしょう。
だからこそ、完成度が高いからこそ細かい部分が気になってしまいます。某所でも講評されていたように地の文と喋り口調にズレがあること、会話が説明的過ぎること、おおよそ口語とは思えない話し方をすることがあること等。パロディネタは知ってる人には楽しいですが、前面に出し過ぎると知らない人は混乱してしまいます。分かる人には分かる、分からない人も何となく面白い、ぐらいの絶妙な距離感を保った方が、みんなが楽しめる作品になると思います。
生意気言ってすいません。ですが、僕はケイオスハウルがもっと面白しろくなり、沢山の人に楽しんでもらえればと、心より願っています。