この世界のすべて

作者 月生

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★★★ Excellent!!!

 良い意味でですが、非常に重たいお話です。

 最近、ネットなどで色々な国を中傷している人たちに、ぜひ読んでもらいたいです。戦争は何時だって、弱い人から全てを奪っていきます。生き残った人は、亡くなった人の分まで幸せにならなければなりません。
 特に子供は美味しいものを食べて、いつでも笑っていなければならないのだなと、強く思いました。

★★★ Excellent!!!

紛争、戦災孤児。この国ではニュース越しにしか知ることが出来ない遠くの出来事ではありますが、まだ各地でくすぶり続けている悲劇ではあります。

確かに存在する問題を取り上げ、かつ克明に描写した本作は、その重さがそのまま作品としての重量感のある骨格として組み上げられています。

その日の糧を得るにさえ流血が伴う。
あるいは世界のどこかで似たような出来事があるのではないかと錯覚するほどに真に迫る苦しさがありますが、多くのものを喪った果てのラストは、同じように、こういった救いがそんな苦しみの中でも起こってほしいという作者さんの願いのように感じられました。

Good!

内戦が激化する中東の片隅で生きる少年とその義弟妹の様子が、少年の目を通して臨場感たっぷりに描かれている。擬音に頼ることなく、視覚情報や振動で丁寧に描写することが、リアリティを与えている。埃っぽさや日差しの熱さを直に感じるようだった。
生きるために他人を犠牲にすることを躊躇わない世界で、弱者である少年たちは搾取され、時に略奪する側に回る。その罪を少年は一心に背負い、それでも弟妹を守るために戦い続ける。そんな思いさえ戦争は容易く踏みにじって行き、抱く希望はことごとく打ち砕かれる。
ラストをどう感じるかはわかれると思うが、僕は、兄のままでいて欲しいと思った。

★★★ Excellent!!!

「一人の命を奪うことで得た缶詰、だがこの食料があれば二人の命が繋げるんだ──」

この価値観を突きつけられて平然としていられる人はいないでしょう。
テーマに、作品に、文章に、非常に魂の篭った作品だと感じました。

まるで『ブラッド・ダイヤモンド』や『ホテル・ルワンダ』といった戦場を舞台にしたシリアスな映画のような緊迫感のあるストーリーに、乾いた砂埃が舞い、肌を焼くような日差しが容赦なく照りつける中東の雰囲気が文章から漂ってくるような小説でした。


あと、私がこの作品を読むきっかけとなった甲野直次さんのレビューが非常に秀逸で、作品の魅力と感想を全て言い表しているのではないかと思うほどです。
こちらもあわせてご一読を。