これほど残酷な世界が、今日も地球のどこかで。

この作品は、まさに迫真の、ノンフィクションに限りなく近いフィクションである――。

そう仮定すると、とても冷静ではいられない気持ちになりました。もちろん僕は、戦争というものを知りません。それでも、これが現実に起こっていることなのだと訴えかける凄まじい気迫、重厚感に押し潰されそうです。

それでも、この作品に出会えたことを後悔したり、嘆き悲しんだりする気持ちはありません。むしろこういう貴重な読書経験をさせていただけたことに、著者様へ心から感謝しております。

文体は極めて淡々と、かつ心地よい速度で進みます。しかし、その一文一文に込められた恐ろしさ、残酷さ、そして一筋の希望(のようなもの)がせめぎ合い、ぐいぐいと惹きこまれます。
文体での表現と、その文章の中に描かれる要素の均衡の取り方は、相互作用を起こして読者の目を離さないでしょう。

その「相互作用」こそ、命の軽々しい扱われ方を印象的にしていると言えるでしょう。また、ちょっとした描写の中に込められた緊張感をもたらすもの(銃器や他者の目線など)を適宜挟んでいるところなど、著者様の確固たる筆力を感じさせます。

まとまりのないレビューで大変恐縮ですが、是非多くの方に読んでいただきたい作品です。

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