1つのテーマと信念を貫き通す現代ドラマの決定版

熱い。
ひたすら熱かったです。
1人の青年の、等身大の生き様がそこにありました。

作者様と同名の主人公…恐らく半分くらいは自伝なのでしょうか。
日本の文豪も、しばしば自分を主役に据えた私小説を書きましたが、芥川龍之介をリスペクトする作者様ならではの筆致が、本来なら虚構であるはずの主人公とシンクロして、リアルに躍動しています。

学校に馴染めない主人公の孤独。
自分を変えるために始めたライム。
淡い恋。
夢の追求と挫折。
将来の不安。
親との決別。
葛藤と再起。
苦難を乗り越えたからこその、掴み取るべき勝利。

文芸に必要なモノが、全部この作品にあります。
とても処女作とは思えません。

今はただ、現代ドラマ屈指の名作と出逢えたことに感謝。

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