すごいＳＦだ。奇妙な不思議空間に迷い込んでしまったような感覚。

横浜駅が増殖しながら日本列島を覆ってしまった近未来の話。
SUICAを持たぬ者は駅の外へと追放されてしまう。

独特の世界観と設定がこの小説の強みだ。ここはいったいどんな世界なのだろうと知的好奇心をくすぐられて先を読み進めてしまう。
難しい言葉の羅列が続くがそれでも問題なく読めてしまうのは作者の力量と作中の用語が現在社会の用語とうまく絡めてあるからだ。パロディのような安っぽいものには決してなっていない。完成度の高い設定で現実感を叩き出しているからとてもリアルに感じられる。絶対にありえない未来なのに、あり得そうに思えてくるから不思議だ。