小説を複数書きあげるということは、物語にたいする誠実な熱情なくしてはなし遂げられません。好きなだけでは書けず、まして好きでなければ書けない。
継続とは孤独な戦いです。
小説を書き、公募に投稿し続けているひとりと致しましては、こちらのエッセイは大変参考になり、励みになります。小説を書くにあたっての過程、教訓、すべてがご自身の経験を照らしあわせて丁寧に書かれています。文章の書き方もまたさすがという他にあります。簡潔で整理された文章。穏やかで、それでいておもしろく、読者の読む速度にぴたりと寄り添う心地の用言葉の運びは、とても勉強になります。
黙々と途方もない字数の小説を書き続けているあいだは、字の荒野をひとりぼっちでさすらっているような孤独にさいなまれるものですが、そんなときに読ませていただくと、先人の足跡が暖かく頼もしく胸にせまります。
この道をいっているひとがいる。
それは、冷静に考えれば、当たり前のことなのですが、こうして身近に実感させていただけることに感謝致します。
実は昔からずっと、とある公募の選考の欄からずっとあなたさまの筆名を見つめ、応援致しておりました。何年越しになるでしょうか。ここでこうしてお逢いできた奇跡にも感謝を。
言うまでもないことだが、小説に関わる人でいちばん多いのは読者である。
投稿者はそこから大きく数を減らし、受賞者はさらに少なくなる。
デビューして、小説を生涯の仕事として生きることができた人となると本当に数えられるくらいになってしまうだろう。
だからこそ小説家のライフスタイルはレアという点で商品性があるのだが、ゆえに見落とされがちなのが投稿者のライフスタイルである。
受賞やベストセラーといったわかりやすいゴールがないので作品化しにくいが、ふと気づくと、ネット上の投稿サイトの隆盛により、読者の多くが投稿者であるような世界がさらに前景化してきた。
他ならぬカクヨムがまさにその一つなわけだが、小説というのは読んでも面白いが書いても面白いものである。
ことによっては作品自体よりも書いている様子の方が面白いかも……となるのが皮肉な事態ではあるのだが、本作にはそんな悲喜こもごもが詰まっており、今の時代だからこそ共感できる部分も多くなっているだろう。
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=村上裕一)
どうも、らくだ図書館の愛読者です。
ワナビとして有名ならくださんでありますが、ご本人はワナビを卒業して早くプロになりたいでしょう。しかしながら、記念出版狙いや泡沫プロならばともかく、長く売れるプロになる為には、こういった経験の積み重ねは『物書きとしての貴重な財産』になるのではないでしょうか?
ワナビとしての楽しみと苦しみが赤裸々に綴られた本作。
プロ志望ではなくアマチュア物書きでも、充分に楽しめるエッセイでしょう。
ダイジェスト化されているカクヨム版だけではなく、多くの読者に愛読され続けている本家「らくだ図書館」もお勧めです。
本家の方は、写真入りで見応えありますよ。何気に写真が上手いです。
僕もワナビといえば、ワナビですが、最近はネット連載と仕事で手一杯で、公募に回すリソースがないです。今は厳密には、ネット小説作者であり、残念ながらワナビではないでしょう。別にネット連載の書籍化も考えていないし。読者を増やそうってだけです。
けれど、余裕が戻ったら、来年くらいから少しずつワナビに復帰して、らくださんと共に頑張りたいですね。来年までワナビとして待っていてくれ、とは言いませんけれど。
頑張って下さい、らくださん!
一らくだファンより。
――落選回数135回。
これは作者にとって誇れる数字ではないはずなのに、それを包み隠さず、その135回を積み上げる過程で味わった初々しいまでの感情を、一切の誇張もなく吐露したエッセイです。
投稿に明け暮れる物書き死亡者……もとい志望者であれば味わったことのある「あるある」ネタから、作者である常木らくださんしか経験してないであろう特殊な海外からの投稿ネタなど、当時の心境を交え生き生きと描写されています。
――大人になっても、何かに情熱を捧げてもいいじゃない。
ほんのり心が温かくなって、笑えるエッセイ。
とても楽しく読ませていただきました。
らくだ図書館、数年前からファンです。
こちらのエッセイを読まれる方は、作家志望の方が多いと思います。
そして、そういった方々が、順調に受賞できることの方が少ないでしょう。
かくいう私もその一人。
らくださんの書かれるブログは、等身大で、だから自分を重ねることができ、笑えて泣ける珠玉の言葉の宝庫です。
今回は、その書き下ろしエッセイ。
やっぱりらくださんはらくださんです。
全部さらけ出して、私の(そして多分私以外の、作家志望に限らず夢を追いかけている人の)背中にそっと手を当てて寄り添ってくださっている、そんな感想を抱きました。
確かにらくださんは、まだプロ小説家ではありません。
ですが、プロの【夢追い人の応援者】だという自負が感じられました。
このエッセイを書いてくださったことに、心から感謝致します。