地元に滅んでほしい全ての人に
- ★★★ Excellent!!!
注意!
この作品内で琵琶湖は滅亡しません!琵琶湖の滅びに快哉を叫びたい人の欲求は満たされない可能性があります!
横浜駅が日本国土の殆どを侵食するという内容の作品です。つまり、地元に滅んでほしい人のうちかなりの割合の人数、この作品によりその欲求が満たされます。おめでとうございます!本当に素晴らしいことです。例えフィクションであろうと憎々しい土地がなんだかシャレオッティなイメージのある横浜駅エキナカ(私は横浜駅に降りたことがないのであくまでイメージです)に置き換わると考えると、それはとてもとても心が弾むものです。横浜駅エキナカ、どんな場所なのでしょうか?美味しいパン屋さんはあるのでしょうか?上京してはや二年、この土地への不満といえばパン屋さん文化があまり発展していないこと、その程度です。東京にはあんまりパン屋さんがないと智恵子でない私は言った。エキナカに神戸ほどではないにしても美味しいパン屋さんがあるといいなぁと思います。花粉症もなぜか治ったし、東京は本当にいいところです。横浜駅エキナカに花粉症はあるのでしょうか?杉がないので無縁そうですね。素晴らしいことです。
このレビューを書くに至ったのはツイッターにて「横浜駅SF読み始めた。面白い。琵琶湖滅んでそう。滅んでてほしい。なにっ横浜駅は水に弱いのか、じゃあ琵琶湖生存してね?あっ!琵琶湖生存してた!ひどいや!」というような内容の一連のツイートをしたところ、作者に捕捉され、結果として琵琶湖大橋から南部はエキナカ化しているという情報が公開されたのが大きな動機です。一部とはいえ琵琶湖が滅亡していた!これはいい知らせですよ!もしかするとこういったレビューを書くことにより、さらなる滋賀の滅亡情報が引き出せるやも!そんな期待を抱かせるには充分すぎる成果でした。
滋賀は盆地ではありますが、真ん中にバカでかい水溜まりがございます。おそらくこの距離の連絡通路をかけようとしても自重で崩れるのでしょうね。比良山地と鈴鹿山脈と野坂山地と伊吹山地に囲まれたこの近江盆地ですが、真ん中に琵琶湖が鎮座することでエキナカ都市としては発展がイマイチなのではないでしょうか?こんなところまで現実どおりとは。ご存知のとおり、琵琶湖を挟んで西と東には文化の断絶があり、私が東側について知っていることといえば、やたら強風の影響で琵琶湖線が遅延すること、そして県内に流通しているイチジクの多くがそちらの高島市のものであることくらいです。本当にその程度の認識しかないほど西と東で文化の断絶があるのです。
私は夢想します。琵琶湖のほとりにポツポツある改札口を。改札口の傍には「琵琶湖マイアミビーチ」と書かれた古ぼけた看板があるのです。生意気にも琵琶湖にはハワイのマイアミを名乗る寂れた砂浜があるのです。三上山のことを近江冨士と呼んだり、ほとほと自意識過剰な土地です。東京の日野市だってそうです。滋賀出身の人がその土地を「なんて素晴らしい土地だ!素晴らしい土地だから故郷と同じ日野と名付けよう!」とかやってしまったのです!東京の中央線様の日野市に、滋賀の近江鉄道しか通らない飛び出し坊やだらけの片田舎日野の名前を付けるなんていくらなんでも厚顔無恥すぎやしませんか。滋賀はそういう土地なのです。そしてそんな厚顔無恥な砂浜のそばに改札口がある。改札口のそばには途方にくれた人達がコミュニティを作っている。そして、多分、ブラックバスとかブルーギルとかとってしょんぼりと暮らしてるのです。鮎とか鮒とかビワマスとかはこいつらに駆逐されてもう居ないでしょう。厚顔無恥な県民の末裔にはなかなかお似合いの末路ではないでしょうか。少なくとも私は、私だけでも、強くそう感じます。
そんなわけで滋賀の滅亡する様を強く想起させていただけるのでこの横浜駅SF、大絶賛です!地元嫌いは早く読め!九段下出身じゃなきゃ高確率で楽しめるぞ!