青春18きっぷが少年を未知の世界へと導く

ひょんな切っ掛けで青春18きっぷを手に入れた三島ヒロト少年は、横浜駅という未知の世界へと5日間の期限付きで旅立っていきます。
ヒロト少年にとって横浜駅は未知の世界ですが、同時に我々読者にとっても横浜駅は未知の世界です。
思想が交錯する各JR、そして横浜駅を覆うスイカネットや自動改札。ヒロト少年の目を通し、我々もまた横浜駅の異様な姿へと触れることになります。
そこにあるのは卓越して作り込まれた世界観に浸る物見遊山的な楽しさでした。ここではないどこかを体験させるのは小説の面白さの一つですが、横浜駅という現実をフックにした異世界は、名称にどこかユーモアを含みながらもニヤリとさせられるようなSF的ガジェットに溢れておりひどく魅力的でした。個人的にこの評価も納得かなと思える出来で非常に楽しめました。

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横浜駅SF

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