いのちはやがて星になり、愛する人のもとへと流れ落ちる。

人が死ぬと、星が落ちる。落ちた星は石になる。
いのちの名残であり星である石は、帰ってくる。
故人が最も「帰りたい」と望んだ人のそばへと。

星詠みの巫女は、落ちゆく星の声を聞き分ける。
巫女は一人、塔に住み、夜ごとに星を見上げる。
孤独も、若くして訪れる死も、巫女のさだめだ。

巫女シャートと、付き人を務める青年アルコル。
二人のかけがえのない日常は、星の輝きと共に、
少しずつ終わりに近付きながら、過ぎていった。

悲しくも美しい幻想異郷を描いた短編集だった。
せつない。
でも、あたたかい。

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