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概要
その本を読ませたら、次はあなたの空白が書かれる。
語り手である私は、長いあいだ一冊の愛読書を持っていた。題名は『空白の午後のために』。淡い灰色の表紙、著者名だけが空白の不思議な本で、子供のころから人生の節目ごとに思い出してきた。しかし、その本について人に話すと、誰も存在を知らない。図書館にも古書店にも記録はなく、残っているのは小学三年の読書ノートに書かれた題名と、著者名欄の空白だけだった。
大学時代からの友人・水野に相談した私は、古い児童雑誌『こどもの硝子』に「空白の午後」という短編が掲載されていた痕跡を見つける。だが、その複写はいつのまにか増え、写真に撮ると文字が消え、声に出して読むと内容が変わる。やがて、その本は読んだ者の記憶の空白を取り込み、本文を増やしていくものだと分かってくる。水野の前には、幼くして亡くなった妹・美津子の記憶が
大学時代からの友人・水野に相談した私は、古い児童雑誌『こどもの硝子』に「空白の午後」という短編が掲載されていた痕跡を見つける。だが、その複写はいつのまにか増え、写真に撮ると文字が消え、声に出して読むと内容が変わる。やがて、その本は読んだ者の記憶の空白を取り込み、本文を増やしていくものだと分かってくる。水野の前には、幼くして亡くなった妹・美津子の記憶が
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