概要
客寄せに奇譚を語る薬売りに老人が声を掛ける。家でゆっくりと薬を選ばせて欲しいのだ……と。快諾した薬売りが家を訪ねると、老人が切り出す。
「奇談を聞かせて欲しい」
老人は何故、常ならぬ話を求めるのか。果たして、その真の望みは何なのか。
まえがき含め、全八話。旅の薬売り・りんが此度語りますは「蝶」でございます。
お楽しみいただければ、幸いです。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!ものがたりの裏がわ あるいは 裏がわのものがたり
「禍福(かふく)はあざなえる縄のごとし」
ということばがある
禍福とはより合わせた縄のようなもの
災いと幸運が入れ替わり変化するのが人生
という意味だが、この物語も、まさしくあざなえる縄
文字を知らないとある老人
奇談(ふしぎな物語)を集めては、縄を結んで自分だけがわかるように「現に閉じ込めて」いた
老人に請われるまま、いくつかの奇談を披露した旅の薬売り・りん
りんもまた、老人の集めた奇談を聴かせてもらう
老人とりんの奇談は、おたがいに聴き語ることによって
その場で縄のようにより合わさってゆくように、レビュアーには思えた
やがてさいごに、りんは問う
「何故、このような話を集めて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人間の最大の罪とは?
人間が作り出した、『最悪なもの』とはなんだろう? と考えることがある。
銃だろうか? 核だろうか? SNSだろうか? 無責任な法律だろうか?
麻薬だろうか? 砂糖だろうか?
…… ……
『言葉』ではないだろうか?
あれこれ考えるうちに、この答えにたどり着く。
この世に存在する、どのような賢い動物、虫、細菌に至る片っ端からを集めても、
そんなものに頼るのは人間以外いないのである。
この物語も、結局は『言葉のせいで泣きを見る』という終幕に至る。
同時に、戦胡蝶がなぜ人の前に姿を現さないのかも、妙に腹に落ちるのだ。
世にも奇妙な物語、
わらうせえるすまんに通ずる、オカル…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人は愚かで愛おしくて。しかし自然の摂理に愛は通じず。
これは、旅の薬売り・りんの物語、その第八節。
人の来し方行く末を人ならぬ者の目線で読み解く本シリーズの類に違わぬ、笑ってすまされぬ人の行状が明かされます。
人は、愚かで、しかし愛おしいのです。かつての行いの裏にあった訳は何であったか。分からなかった我は愚かか。
しかし、言を違えるという罪を犯せば、その報いたるや。
自然の摂理に愛は通じず、人には愚かさが残るのみ。
それでも、人の間に優劣を設けず、抗える者など一人もいないと勘づかせることで読者に向けて、貴方一人が愚かではないし、貴方一人が賢くあることもできないと諭す、最も根底に優しさを湛えるシリーズです。 - ★★★ Excellent!!!胡蝶の夢や、常ならむ
大人気作者の、これ又大人気シリーズ
樟の芳香の如き『薬売りの、りん』さん
第八作目は、胡蝶の夢の中。
薬を商いながら里や村を回っては
不思議な話を集めている薬売りが人集めにと
語った 奇譚 に、里の老人が興味を抱く。
何やらこの老人も不思議な話を集めては
黒縄に結び付けて 奇譚 自体を閉じ込めて
仕舞うという。
話の礼にと、老人が幼い頃に体験したという
不思議な譚を語って聞かせるのだが…。
話してはならない、と言われたら
話したくなるのが世の常、人の常ならん。
怪に触れれば、怪へと振れる。
かつて、里の老人が見たものは果たして
何だったのか。そして一体彼は何と取引して
しまったのか。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「誰にも言ってはいけません」
昔話では「見てはなりませんよ」「食べてはいけませんよ」「触れてはいけませんよ」と何かを禁ずる展開がしばしばあります。ほぼすべて、それを破ってひどい目にあいます。でも同列の禁のなかで「言ってはいけませんよ」はひときわ重い誓いになる気がします。
語ることは、人間が集団の中で暮らすにあたり、とても重要なコミュニケーションツールです。他言無用を誓わされると、日々そのツールを使いながら、喉に引っかかった小骨を意識し続けなくてはなりません。本作でも幼い子供が「言ってはいけない」を誓わされるのですが、子供にこれはかなりきつい禁です。負わされた時点で、いつか罰を受けることが確定しているようなものじゃないか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!奇談蒐集する老人のキッカケは不思議な思い出。謎が解かれた時起こる事は。
彼は子どもの頃、山で不思議なものを見た。
それを契機に、辿り着いた村で知識を集め奇談を集め、発明などに活かしながら自分を受け入れてくれた村に貢献している。
そこへ奇妙な話を披露する薬売りが現れた。
これ幸いとばかりに新しい話を記録しようと自宅に招くが、はてさて本当に幸いとなるかどうか──?
薬屋りんさんシリーズです。
シリーズですが、独立して読めますのでどこからでも大丈夫です。全部、推せます!!
どれも憎悪や執着や愛情や悲しみなどが幻想的な生物と絡んで、人の人生の鮮烈さを見せてくれますが、同時に無情さも見せてくれます。
人以外の視点があることによって。
今回は幼年期の傷が癒されます…続きを読む