このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(88文字)
小学校の授業で、紙芝居を作りました。紙芝居を作るのは、とても難しいです。重ねた紙をめくるという行為があるので、その絵の裏に、その絵のセリフが書かれているわけではないからです。、プロなら、すっかり覚えて、アドリブすら混じるでしょうが。べっこう飴。魅惑の琥珀色。もらった。食べた。得た。琥珀色の目。見えてはならないもの。見え始めました。きっとそれは、紙芝居と、ひと味もふた味もちがうもの。もっと、きっと。脳髄がなにかで痺れるようなものかと…。
よく「セピア色の風景」などと言われるけれど、べっこう飴を透かして見る景色は何色で見えるのだろう。例えるなら夕陽に染まる公園のような色だろうか。この作品の昭和レトロな世界観にもよく似合う色だと思った。紙芝居屋。子どもたち。水飴、酢昆布、べっこう飴……優しいような怖いような。どっちに振れるかわからない、ゆらりとした読後感が心地よい。
二ノ前先生の作品に、外れは、有りません。この短編も、正に、ホラー小説の王道を行っています。今日も、別の作品が、「注目の作品」のトップに出ていました。ともかく、二ノ前先生程の、語彙を自由に操り、このようなホラー小説を、この私も書いてみたいのですが、私のは、「残虐な描写」で、読者を釣る、インチキ小説です。とても、二ノ前先生のようには、上手く行きません。それはそれとして、先ずは、読んでみて下さい。ホラーの中のホラー、と言う意味が、御理解できると思います。
私自身、紙芝居屋を目にしたことはありませんが、多くの子どもたちで賑わっていた昭和の公園を思い出す、ノスタルジックな雰囲気満載の作品です。昭和世代にはどこか懐かしく、若い世代にはエモさを感じさせてくれることでしょう。ただし、あくまでジャンルはホラーですので、覚悟してお読みください。
もし、よく知らない人から食べ物をもらったら、食べるのは控えておきましょう。それがどれだけ大好物でも、魅力的に見えても。食べてはいけませんよ。食べて、咀嚼し、飲み込んで、それが体に吸収されたら、どうやっても以前の自分には戻れないのですから。
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