概要
1本の桜の老木は、春の花の王子の拠り所だった――
1本の桜の老木があった。
その木を見上げている者がいた。それは美しい春の花の王子だった。
自主企画・第三回さいかわ卯月賞 参加作品お題「春の宵」選択です。
その木を見上げている者がいた。それは美しい春の花の王子だった。
自主企画・第三回さいかわ卯月賞 参加作品お題「春の宵」選択です。
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おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!鞦韆院落夜沈沈
ある春の宵、美しく老いた桜の前で盃を交わす紅と蒼。
その桜のいのちは、今夜尽きようとしていた。
花の王の子であるふたりは、しきたりにしたがって桜の精に尋ねる。
生まれ変わったら何の花になりたいか、と。
長く人の間にあり人を慈しみ人に愛された桜。
彼女は何と答えて散っていったのでしょうか。
◇
作者、深山さまは丁寧な心情描写に定評ある作家さんです。
その淡色の恋愛小説はもとから素晴らしかったのですが、最近の深山さまはそこに陰影のコントラストを加えてなおのこと深み、というより凄みを増しているような気さえします。
どこまで行ってしまうんでしょう?
この作品は転換点になる予感がします。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人の心を癒し続けた一本の桜。そんな「務め」の終わりを温かく見守る
美しくて、幻想的で、そして儚い。
桜の花。毎年の春になると、人の目を楽しませてくれる、とっても尊いもの。
本作はそんな「桜の花」を愛でる二人の王子が登場します。
紅と蒼。二人は「春の花の王子」とされ、人ではない神格的・精霊的な存在だということが伝わってきます。
二人はそっと、桜の老木を見つめ、桜の精である清子と対面する。
老木となりながらも美しい花を咲きほこらせ、同時に儚く散ってゆく。
桜の花は美しいけれど、散るのもとても速い。天候に恵まれなければ誰かに鑑賞されることなく満開の時を終えてしまうことも。
そんな「刹那の美」を持った桜の「最期」を神のような二人が看取…続きを読む