概要
その木を見上げている者がいた。それは美しい春の花の王子だった。
自主企画・第三回さいかわ卯月賞 参加作品お題「春の宵」選択です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!桜。美しく、なんて壮大な愛の物語……!
読み終わって、ほうっとため息がこぼれました。
雅な二人の若者。
生き生きと描かれる彼らの会話はみずみずしい。
そこに登場するのは——。
桜って、特別ですよね?
きっと日本で暮らしたことがある人なら、誰でも特別な思い出があるのではないでしょうか。
満開時の華やかさも、散る時の儚さも、桜にしかない味わいがあります。
私も、桜だけはもう一度見たいなぁ、なんて思うのです。
この物語は、きっと一人ひとりの心に、大切な桜の物語を甦らせてくれる、そんな気がします。
いい時期に、ぴたりとはまる物語を読みました。
皆様のところでは、桜はまだ咲いていますか?
ぜひ、桜を感じられる今、この短くも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!儚い花見
とても美しいお話でした。
素敵な世界観と、情景描写力が巧みで、読んでいて穏やかな気持ちになりました。
私は花見をしたことがないのですが、それでも本作を読んでいる際はまるで自分が花見をしているような感覚になりました。作品内の情報の過不足がなく、没入感があったのだと思います。
3000文字に満たない文字数で、ここまでの幻想的かつ、儚い世界観を構成するのはすごいです。作者様の実力がめちゃくちゃ高い作品です。
この作品の美しさや、力強さはレビューで言い表すのは難しいですね。なので、みなさん今すぐに読んでください。
美しい世界が好きな人、絶対にハマると思います。
ぜひ、ぜひご一読ください! - ★★★ Excellent!!!桜を見上げる人々と同様に、人々を見下ろす桜にもきっと想いがある
日本人は桜が好き。
花を咲かせる木々は多いですが、膨らむ蕾を見て春を待ち通しく思い、開いた花を数えて高らかに開花宣言する、そんな木は桜だけではないでしょうか。
そんな桜の、一本の老木が、その命を終えようとしています。
それを見守り、最期の言葉を聞くのは、花の王子。
綴られる彼等の会話と心情は、優しくて柔らかく、そのものが春の空気のようです。
桜を見上げる人々と同様に、人々を見下ろす桜にもまた、たくさんの思い出があって、それらを懐かしく愛おしく感じるのかもしれない。
そんな風に思える、春の宵にぴったりな短編でした。
お勧め致します。 - ★★★ Excellent!!!花よりなお、その魂は美しく──
みなさんはこの春、桜を見ましたか?
桜の咲いては散る姿は、命の誕生と死を繰り返しているようでもあります。
けれど、木そのものはそのたびに新しく生まれ変わるのではなく、ゆっくりと、しかし確実に老い、死へと向かっていきます。
本作では、“春の花の王子”が五百年の時を生きた桜の老木の、その最後の開花を見届け、最後の対面を果たします。
老木から桜の精が実体を得て現れ、自らの五百年の生を振り返る。
春の宵に行われるそのひとときは、幻想的で、悲しく、愛に満ちていて、なんとも切ないものでした。
けれど本当に美しいのは、花の咲く様だけではありません。
桜の精の魂そのものが、とても気高く、美しかった。…続きを読む