花よりなお、その魂は美しく──

みなさんはこの春、桜を見ましたか?

桜の咲いては散る姿は、命の誕生と死を繰り返しているようでもあります。
けれど、木そのものはそのたびに新しく生まれ変わるのではなく、ゆっくりと、しかし確実に老い、死へと向かっていきます。

本作では、“春の花の王子”が五百年の時を生きた桜の老木の、その最後の開花を見届け、最後の対面を果たします。

老木から桜の精が実体を得て現れ、自らの五百年の生を振り返る。
春の宵に行われるそのひとときは、幻想的で、悲しく、愛に満ちていて、なんとも切ないものでした。

けれど本当に美しいのは、花の咲く様だけではありません。
桜の精の魂そのものが、とても気高く、美しかった。

だからこそ王子は、その魂に惹かれ、焦がれ、想いを寄せたのでしょう。

多くの人は、桜が咲き誇ったその瞬間を愛でます。
けれど桜の方では長い命のあいだずっと、愚かな過ちを繰り返す人間をそれでも愛し続けてくれていたのかもしれません。

今の季節に読んで頂きたい作品です。
ぜひ、ご一読ください。

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