第12話

 担任先生に陸部に誘われて、そのまま何故かもう一度対岸まで走らされて。

 疲れ切った私は、また担任先生のバイクの後部座席で眠ってしまっていた。


 ごめんね、明美。

 貴方が振り回してるなんて、そんなことない。

 私は貴方にいて欲しい。

 とりあえずバスの先輩方は先生の前で事情説明か、もしくは言いくるめてみせるか。


(お前が丸くなればいい、か)


 ねえ、こんなにねじれた私でもまっすぐな人間になれるのかな。

 優しくて、明美みたいに愚直で、違うと思ったことを捻じ曲げずにそのまま受け取れる、そんな人間に。


◇◆◇


 プシュー、ぱたん。


 今日も隣に、明美はいない。

 嫌らしい先輩方は、今日も私を見てにやついている。よくも飽きないものだ。

 つるピカ頭は、ゆらゆらとバスの振動に合わせて揺れている。


 さて、担任先生からはHRを飛ぶ許可は得た。

 学校について、バスの扉が開くと、いの一番に正面玄関に入る。

 特別教室は保健室横、小さな窓に、横開きの大扉。

 廊下を駆け抜けて、段差を飛び越える。なんだ、案外動くじゃん、私の体。


 私は銀色の取っ手に手をかけて、ノックもしないで扉を引き開けた。


「明美、私陸上部入るわ。見に来なきゃ承知しないよっ!」


 声が大きすぎて真上の職員室まで聞こえているだろうか。まあ、それはそれで構わない、どうせあの陸上馬鹿の担任先生にはお世話になるんだ。


 私は丸く、のびのびとやる。だから、明美も飛び出しておいで。

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捻じれて、愚直 三門兵装 @WGS所属 @sanmon-3

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