概要
私たちが祈る時、私たちの語ること。
月行病――夜の間、質量を失い月へと惹かれるように浮遊する病。伝承の中で確認されるのみであり寓話とされているが、しかし文化と時代を問わずに偏在をしていることからその実在を疑わない学者も存在している。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!もしかしたら、もしかすると、これは、現代版のかぐや姫なのかもしれません
現実と幻想、死と生の狭間をあまりにも繊細に描いてあったので、作者は一体何者なのだろう、どういうバックグラウンドを持っている人なのだろう、と作品の感想を書く前に、そちらに興味が向いてしまい、色々と考えてしまいました。
それぐらい考えさせられる作品でした。
この作品からは、近年の若い世代に特有(であると私が感じている)の“静かな絶望”や“痛みとの共存”といった価値観が浮かび上がってきます。
それは逃避ではなく、喪失や孤独を丁寧に抱きしめるようなその感性は、大人世代とは異なる死生観を感じさせられます。
彼らは答えを求めず、断絶さえも一つの在り方として受け入れるような気がしてなりません。
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