カクヨム短歌賞1首部門 応募作品

キャッチコピーにもなっている、
>一人でも恋は出来るという君の瞳が好きと言えずに帰る
の歌が一番好きです。
「一人でも恋は出来る」と片想いをゴールにしている相手に「好き」と伝えて、果たして伝わるのだろうか。思いを受け止めてはもらえないかもしれないならいっそ胸に閉まっておこう、という葛藤が見えるような、複雑な恋心を感じます。

小さな恋心から宇宙の果てまで思いを馳せたりしながら、それぞれが美しいと感じました！
図書館とお父さんの歌が好きでした！

　キャッチコピーの作品に惹かれて読み進めました。
　当作品群は、どれも淡麗な言葉で綴られており、一首一首読むたびに個人の感情と世界を対比する手腕に素晴らしさを感じました。
　また、今作は一首進むごとに規模感が大きくなり、星の涙という個人的な描写から、最後はプロミネンス（太陽）や地球という宇宙にまで規模が及ぶ。三十一字の行間に加速装置が積まれているかのような跳躍。
　そしてそれらは恋というものの想像力や影響力を大袈裟ではなく描いているように思います。恋する当人からすれば地球もペルセウス座も遠くはない。それは父母になるような愛へと変容し、恋はまた子に移る。そのスペクタクルさにも驚かされました。
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現実と非現実の間を往還するような短歌が並んでいます。

最果てと呼ばれる街の灯台は　丘の上から海を見ている

例えばこの5首目では、
最果ての街の灯台が海を見ているのですが、
その灯台がどことなく、
作者の孤独の象徴のようにも感じられるのです。

そのほかにも、父や母を呼んだ短歌には、
胸を打たれる思いがしました。

なんて美しく蒼く涼やかに光るのだろう。
空の彼方の星の煌めき、海の青、砂浜の白
囁くような呟くような言霊の、
　くるくると回っては閃いて流れて帰る。
深い闇のなかへと落ちて行く前の
ほんの一瞬を、確かに捉えたこの短歌集は
まるで、とても憧れて止まない

　薄明の刻を、まざまざと見せてくれる。

この、世界で一番美しい刻は、それでも
刻々と貌を変えて、繰り返す日々の
愛しさを識る。

　この美しい短歌を、宝箱に閉じ込めて
置きたいけれど。

　　　　　それが出来ぬからこその

　美しさなのだろう。

自然、宇宙、人間の感情をあらゆる方面からまるで綾織のように織り交ぜて、

深い孤独と美しさを表現しているような気がしてなりませんでした。

星、海、風景などの自然の描写は儚さを感じさせる一方で、

人間の関係性や時間の流れなども同時進行で詠まれているのだろうか、などとも思いました。


特に「嫌われて黒い炎ほむらが燃えさかる」という部分では、地球の未来に対する不安と人間の内面の闇が重なるような気がして、

うまく言えませんが…いろいろ考えさせられました。

何がいいたいかというと、とにかく素敵な連作です。