青空に、新緑の山が浮かぶ。
あの日、僕は君と出逢った。
写真を撮るたび、笑顔が増えていった。
体重も、愛娘も、増えていった。
そしてある日、スマホの中には
君と花と子どもたちだけがいた。
僕は消えていた。
けれどそれで、いいと思えた。
人と比べる必要なんてない。
僕の幸せは、僕の心だけが知っているのだから。
本作は、わずか五首の短詩から成る連作でありながら、
一つの人生をまるごと描き出してしまうほどの密度を持つ。
読み手の胸に『静かな痛み』と『透明な祝福』を残し、
何気ない日常が、どれだけ豊かな詩で満ちているかを教えてくれる。
これは『存在の後景化』を美しく受け入れた者だけが辿り着ける、
幸福という名の詩。