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- ★★★ Excellent!!!圧倒的な音楽の渦の中の夏
主人公の蛍君は幼い頃からピアノを続けている。だが、高校1年生になり進路を意識して決めなくてはならない年齢になり、焦りを感じています。
防音室に籠もりピアノを弾く日々。天窓から見える切り取られた空だけが圧倒的な夏を感じさせている。
そんな時、クラスメイトの山背さんがピアノを聴きたいと言ってきて変化が訪れます。
ただ、ただ圧倒されました。
本物の夏と、まがい物の夏。でもそのまがい物が大好きで、まがい物の夏を全身全霊で謳歌しようと変化し決意するというところが、とても良かったです…!
「毒々しいほど鮮やかな色合いのゼリー菓子、舌が真っ青になるかき氷、果物以上に果物っぽいかおりがするアイスキャ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!支配的な音楽に埋め尽くされる偽りの夏と自由な自然体に委ねたい本物の夏と
自宅の防音室でピアノの練習をし続ける高一の岩檜蛍(いわひば・けい)。目先のコンクール、厳しい練習スケジュールをこなす毎日。張り詰めた心理に走り抜ける音楽の奔流は、今まで犠牲にしてきた夏の記憶なのか――それは本当にやりたかったことではない偽りの夏として心の中を支配していた。
見上げれば防音室の天窓からは自由色で彩られた夏空が広がっていた。友達は海に遊びに行く約束をして今頃あの空の下で本物の夏を満喫していることだろうと思いに耽ることも。それは手の届かない高みに広がる静かに輝く本物の夏。
これは支配と自由、そして人工的に響かせる音と自然界のもつ心地よい音の二重対比となっている点が本当に素晴らしい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!音楽が作り出す「虚構の夏」と、天窓の外に広がる「リアルな夏」と
とにかく、シチュエーションが最高です。
夏休み、天窓のある部屋にこもってひたすらピアノの練習を続ける主人公の蛍。
天窓から見える夏の空。それだけが自分と外の世界を繋ぐもの。そして、あとはひたすらピアノの音色で心を満たす。
様々な音楽がビジュアル的なイメージを持ち、心の中を行き来して行く。
そして同時に、友人たちからのお誘いも受け「リアルな夏」の情緒を堪能しにいくことにもなる。
音楽によって作り出される「虚構の夏」と、実際に外の世界に広がっている「リアルの夏」という対比。
芸術家ならではの心の内側を活写する文章も見事だし、更に高校生ならではの夏を満喫する姿というのも爽や…続きを読む - ★★★ Excellent!!!旋律の中に在る絵画の様な夏の日を想う。
きらめく陽光に、漣の輝く紺碧の海。
艶めく宵空に次々と打ち上げられる
大輪の花火。
四角い白い防音室の中で彼は音を紡ぐ。
グランドピアノの音は耳朶に馴染んで
無機質なコンクリートの建物を 夏 へと
変える。
幾多のコンクールに出て、常に入賞する
事が求められるピアノの世界はまさに
琴線の綱渡り。常に走り続ける事で、漸く
息を吐くことを識る。
青々とした空の下で歓声を上げる事も
躊躇われる彼の遮二無二生きる乾燥した
日常に入り込んで来た、生々しい 少女。
煌めく毒々しい原色のゼリー菓子。
舌が真っ青になるかき氷も、本物以上に
果物の香のアイスキャンディも。
憧憬は、ほんの小さ…続きを読む